籾米サイレージとビール粕を用いた黒毛和種繁殖雌牛の分娩前後の飼料費低減

タイトル 籾米サイレージとビール粕を用いた黒毛和種繁殖雌牛の分娩前後の飼料費低減
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2016~2018
研究担当者 河本英憲
志水学
米内美晴
伊賀浩輔
発行年度 2018
要約 イネホールクロップサイレージを主な粗飼料源とする繁殖雌牛においても、分娩前後に増給する配合飼料の原物量の半分を籾米サイレージとタンパク質補充用のビール粕で代替でき、繁殖成績および産子の初期発育に影響を及ぼさずに増給分の飼料費を20%以上低減できる。
キーワード 繁殖雌牛、配合飼料、籾米サイレージ、イネホールクロップサイレージ、ビール粕
背景・ねらい 肉用種の繁殖雌牛は妊娠末期と授乳期に養分要求量が増加することから、この期間に配合飼料を中心に増給される。子牛生産費のうち、母牛用配合飼料代が約10%を占めており、この配合飼料を安価な飼料用米で代替することでコスト低減が期待できる。なかでも飼料費を効果的に低減できる籾米サイレージに取り組む先進的な生産現場では、すでにイネホールクロップサイレージ(イネWCS)が定着している場面がみられる。同じイネ由来飼料である籾米サイレージとイネWCSとの併給が可能となる給与方法について検討しなければ、籾米サイレージの利用拡大に結びつかない。そこでイネWCSを主要な粗飼料源とする繁殖雌牛において、分娩前後に給与する配合飼料の一部を籾米サイレージとタンパク質補充用の食品製造副産物で代替した場合の繁殖成績への影響や飼料費低減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 市販配合飼料を籾米サイレージのみで代替すると、粗タンパク質(CP)不足となるので、広く流通している脱水ビール粕サイレージを併給する。配合飼料を原物3kg給与する場合、配合飼料を半減して籾米サイレージ1kgと脱水ビール粕サイレージ2kgを給与すると、配合飼料のみの場合と同等のCPと可消化養分総量(TDN)が低コストで給与できる(表1、2)。
  2. イネWCSを主な粗飼料源とし、分娩1カ月前から分娩2カ月後まで配合飼料が3kg給与されている場合、表2に従って籾米サイレージと脱水ビール粕サイレージで代替しても、配合飼料のみの場合と比べて母牛の分娩後の発情回帰までの日数、産子の生時体重と初期発育には差が認められない(図1)。
  3. 日本飼養標準・肉用牛における養分要求量を基に作成したイネWCSを主な粗飼料源とする場合の分娩前後の給与メニューの実際例を示す。繁殖雌牛においては、イネWCSに併給される牧草も低品質(CP含量が乾物中10%未満)な場面がみられる。この場合にも対応できるように、繁殖雌牛のステージ毎に籾米サイレージに対する脱水ビール粕サイレージの割合を高めてメニューを組めば、CPとTDNをバランスよく充足できる(表3)。
  4. 表3の給与メニューによれば、配合飼料のみで増給する場合と比べて増給分の飼料費が妊娠末期で26.9%、授乳期で20.7%低減できる。イネWCSに併給する牧草のCP含量が乾物中10%以上の高品質である場合は、配合飼料を各期とも0.2kgずつ減じることが可能で、より大きな低減効果が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. イネWCSを利用している肉用牛繁殖または繁殖肥育一貫経営において、飼料用米の積極的な利用を目指す場合の参考となる。
  2. 籾米サイレージやビール粕サイレージを利用するためには、開封後の変敗を避けて給与できる頭数規模が必要である。
  3. 給与メニューは経産牛の乾物、CP、TDNの要求量を基に作成しており、安全率を考慮していない。給与飼料の成分分析の実施や各牛のボディコンディションの変化に注意を払うとともに、代謝プロファイルテストの活用を推奨する。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2018/tarc18_s06.html
カテゴリ 経営管理 飼料用米 低コスト 肉牛 繁殖性改善

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