CRISPR/Cas9を利用したトランスポゾン除去技術

タイトル CRISPR/Cas9を利用したトランスポゾン除去技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2012~2018
研究担当者 雑賀啓明
森明子
遠藤真咲
土岐精一
発行年度 2018
要約 CRISPR/Cas9を利用して、イネのレトロトランスポゾンの1つTos17を除去することができる。この方法を応用してトランスポゾンを除去することにより、ゲノムや形質の安定化やトランスポゾンの挿入により不活化されていた遺伝子の再活性化等に寄与できる。
キーワード イネ、トランスポゾン、ゲノム編集、Tos17、欠失
背景・ねらい 人工制限酵素を利用した標的変異技術は、標的遺伝子に変異を導入できるのみならず、近傍の2カ所を切断すれば、その内部を除去することができる。よって、狙った部位に比較的大きな欠失を正確に導入することが可能である。
トランスポゾンの転移は、トランスポゾンが挿入した遺伝子やその近傍の遺伝子の構造や、その発現パターン・発現量に影響を及ぼす。そこで、トランスポゾンを除去する技術を開発することにより、トランスポゾンの挿入によって影響を受けている遺伝子領域を人為的に改変できると考えられる。
そこで本研究では、イネのトランスポゾンであるTos17をモデルとし、人工制限酵素によってトランスポゾンを除去する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 形質転換に用いるベクターは、Tos17の両端に存在する長鎖末端反復(LTR)配列を切断するための人工制限酵素CRISPR/Cas9ベクターである。
  2. 1.のベクターをイネカルスに導入することにより、LTR配列に欠失や挿入等の変異を導入できる(図1)。また、LTRに挟まれた約4.0kbをゲノムから取り除くことができる(図2)。
  3. 2.のカルスから再生した個体のT1世代では、Tos17がゲノムから取り除かれたホモ系統が得られる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. Tos17は組織培養時に転移が活性化する。Tos17除去系統は、組織培養時に生じる体細胞変異のうちTos17の転移に由来する変異が生じないため、形質転換の素材として活用できると期待される。
  2. 本技術は、様々な生物のトランスポゾン除去に応用できるため、転移しやすいトランスポゾンを除去することで、ゲノムや形質を安定化させることができると考えられる。また、トランスポゾンの挿入により不活化されていた遺伝子を再活性化するのに有効な方法であると期待される。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2018/nias18_s10.html
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