茎頂組織を狙って植物体を直接ゲノム編集する技術

タイトル 茎頂組織を狙って植物体を直接ゲノム編集する技術
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2015~2018
研究担当者 今井亮三
Yuelin Liu
濱田晴康
柳楽洋三
三木隆二
田岡直明
発行年度 2018
要約 コムギの種子茎頂組織にパーティクルガンを使ってCRISPR/Cas9遺伝子を導入すると、生殖系列細胞にゲノム編集が起こり、後代に遺伝する変異個体が得られる。この手法は、培養不要のため、幅広い作物品種に適用可能である。
キーワード コムギ、ゲノム編集、in planta、パーティクルボンバードメント
背景・ねらい 近年脚光を浴びるゲノム編集技術は、植物分野においても将来の作物育種技術として期待されている。これまでの作物ゲノム編集では、カルスなどの培養細胞にゲノム編集酵素遺伝子を導入後、個体を再分化させる必要があるため、培養特性が優れた品種にその適用が限られ、農業形質の優れた商業品種への適用は必ずしも容易ではない。特に、コムギ、ダイズ、トウモロコシ等の主要作物では、品種に依存しない遺伝子導入技術の開発が強く望まれている。そこで、本研究では、茎頂組織をターゲットとしたin planta particle bombardment(iPB)法をゲノム編集に適用し、培養不要なゲノム編集技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 標準的なiPB法によるプロトコールに従い、1日吸水後の種子胚から茎頂露出を実体顕微鏡下で行い、胚盤より分離した露出胚は寒天プレート上に40~50個体を直径1cm程度の円周上に並べる。
  2. 0.6μm金粒子表面にCRISPR/Cas9遺伝子を吸着させ、パーティクルガンはBioRad PDS-1000/Heを、印加圧1350psiで用いる。
  3. 金粒子は一部茎頂のL2細胞層に到達し、ゲノム編集されたL2細胞から生殖細胞が生じると考えられる。これにより、次世代に遺伝するゲノム編集個体を得ることができる(図1)。
  4. 射撃後、生育させた植物の第5葉からDNAを抽出し、CAPS解析を行い、変異体を1次選抜し、更にT1世代に遺伝した変異系統を選抜する。
  5. 収量性に関与するTaGASR7遺伝子に対して本法を用いると、処理した210個の胚から、3つの変異系統が得られ、このうち2系統はABD各ゲノム遺伝子に変異を有する(図2)。
  6. 得られた変異体のゲノム中にCRISPR/Cas9遺伝子が検出されないことから、一過的発現によりゲノム編集が行われたと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本技術は培養系を必要としないことから品種による制約を受けない、農業形質の優れた品種へのゲノム編集が可能となる。
  2. 本技術の商業利用に関しては、(株)カネカとの交渉が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2018/nias18_s07.html
カテゴリ 育種 大豆 とうもろこし 品種

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