ソバから新たに単離した高付加価値ソバ品種育成のためのフラボノイド合成関連遺伝子

タイトル ソバから新たに単離した高付加価値ソバ品種育成のためのフラボノイド合成関連遺伝子
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2008~2018
研究担当者 松井勝弘
Amanda Walker
大島良美
安井康夫
発行年度 2018
要約 ソバから新たに単離した複数の遺伝子はフラボノイド合成制御系で働く。これらの遺伝子を標的にした遺伝子型選抜等を実施することにより、高機能性や難褐変性等の高付加価値ソバ品種の効率的育成が可能となる。
キーワード ソバ、ルチン、プロアントシアニジン、褐変性、遺伝子型選抜
背景・ねらい ソバはルチンを代表とするフラボノイド系化合物を多く含み、高い機能性を有する作物として知られる。しかし、フラボノイド系化合物のプロアントシアニジンは酸化により茶褐色へ変色するため、ソバの保存や調理により褐色に変色(褐変)する重要な要因と考えられている。そのため、プロアントシアニジンを合成しない品種の開発が求められている。ルチンやプロアントシアニジンなどのフラボノイド系化合物はフラボノイド合成経路で合成される二次代謝産物であるが、この合成経路の流れを制御することで、プロアントシアニジンを合成しないがルチンを含む品種など、目的とする二次代謝産物の量を変化させることができる。
本研究は、ルチン含量を高めた変色しにくいソバ品種を効率的に育成する方法を開発するため、ソバのフラボノイド合成系で働く主要な遺伝子の単離を目指したものである。
成果の内容・特徴
  1. 本研究でソバから新たに単離した遺伝子は、ソバのフラボノイド合成制御系で働く、ジヒドロフラボノール-4-還元酵素遺伝子(FeDFR2)、3つのロイコアントシアニジン還元酵素遺伝子(FeLAR1,2,3)、アントシアニジン還元酵素遺伝子(FeANR1)、グルタチオンS-転移酵素遺伝子(FeGST1)および転写因子遺伝子(FeMYBF1)である(図1)。
  2. ソバにはフラボノール合成とアントシアニンやプロアントシアニジン合成を分ける際に働く、ジヒドロフラボノール-4-還元酵素(DFR)が少なくとも2つ存在し、両遺伝子とも子実で転写活性があるため、アントシアニンおよびプロアントシアニジンの合成を止めるには2つの遺伝子座とも正常なDFRタンパク質を合成しない対立遺伝子を選抜する必要がある(図2)。
  3. ルチン等のフラボノール合成を制御する転写因子遺伝子(FeMYBF1)をゲノム編集などの技術を利用して高発現させることにより、ソバ子実中のルチン含量を高めることができると考えられる(図1、図3)。
  4. これらの新たに単離した遺伝子配列はDDBJなどのデータベースから検索可能である。
成果の活用面・留意点
  1. プロアントシアニジンを合成しないソバ個体等を遺伝子型から選抜する際の標的遺伝子を選ぶ際に利用できる。
  2. ソバは他殖性のため、変異に富んでおり、遺伝子情報に基づいて作成したプライマーでは増えない個体がある場合があるため、プライマー作成には留意が必要である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2018/nics18_s04.html
カテゴリ 機能性 高付加価値 そば データベース 品種

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