家畜ふん堆肥等の有機質資材中のAD可溶有機態窒素含量の特徴およびC/N比との関係

タイトル 家畜ふん堆肥等の有機質資材中のAD可溶有機態窒素含量の特徴およびC/N比との関係
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2016~2018
研究担当者 古賀伸久
新美洋
井原啓貴
山口典子
山根剛
草場敬
発行年度 2018
要約 有機質資材中のAD可溶有機態窒素(ADSON)含量は、植物油かすや魚かすで高く、牛ふん堆肥で低い。植物質の有機質資材では、C/N比が小さいほどADSON含量は大きい。鶏ふん堆肥の一部やカニガラなど、C/N比が小さいにもかかわらずADSON含量が低い資材が存在する。
キーワード AD可溶有機態窒素(ADSON)、C/N比、有機質資材、家畜ふん堆肥、緑肥
背景・ねらい 農地には、家畜ふん堆肥、緑肥等様々な有機質資材が投入される。これらの資材が土壌中で分解すると作物にとっての養分である無機態窒素を放出するので、有機質資材の施用によって有機栽培や減化学肥料栽培が可能になる。しかしながら、有機質資材の質は多様であり、作物に過不足なく有機質資材によって無機態窒素を供給することは容易ではない。近年、粗飼料の品質評価法であった酸性デタージェント(AD)を用いた評価法が、有機質資材の土壌中での分解しやすさの評価に応用され、資材中のAD可溶有機態窒素(ADSON)含量と土壌中での窒素無機化量との間に高い正の相関があることが家畜ふん堆肥や緑肥などで報告されている。そこで本研究では、有機質資材の質に応じた有機物施用の実現に向けて、ADSON含量の資材ごとの特徴やこれまで有機質資材の分解しやすさの指標とされているC/N比との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 有機質資材中のADSON含量の平均値は、植物油かすや魚かすで高く、牛ふん堆肥、キク科緑肥(ヒマワリ)、カニガラで小さい。多くの資材において、ADSON含量の変動幅は大きい(図1)。
  2. 豚ぷん堆肥や鶏ふん堆肥のADSON含量の平均値は、牛ふん堆肥のそれの約2倍である(図1)。
  3. 家畜ふん堆肥では、C/N比とADSON含量の関係が分散するのに対し(図2上段)、植物質の有機質資材(緑肥、作物残さ、植物油かす、米ぬか)では、C/N比が小さくなるほどADSON含量は大きく、この関係は一つの曲線で近似できる(図2中段)。そのため、これらの植物質資材では、C/N比からADSON含量を予測することができる。
  4. 一般にC/N比の小さい資材は窒素無機化が速いとされるが、これに反しC/N比が小さいにもかかわらずADSON含量の低い資材が存在する(図2)。図2の赤色で示される範囲は、C/N比が10以下、ADSON含量が10mgNg-1乾物以下の範囲を示すが、この領域付近にプロットされる資材は、鶏ふん堆肥の一部、カニガラ、稲わら堆肥等であり、窒素無機化量が小さい可能性がある(これらの資材は、乾物当たりの全炭素含量が10~30%と低い点で共通)。
成果の活用面・留意点
  1. 緑肥や作物残さは、作物種、品種、栽培時の施肥、生育日数が異なる条件で栽培されたものである。
  2. 本研究で分析した多原料混合資材とは、魚粉、米ぬか、蒸製毛粉、蒸製皮革粉、蒸製骨粉、コーヒーかす、植物油かす、焼酎かす等を混合したものまたはそれを発酵させたものであり、その一部はぼかし肥料として市販されていたものである。
  3. 得られた情報は、有機質資材特性値、土壌温度、土壌水分を入力値とする有機質資材の無機化予測やその不確実性評価に活用できる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/karc/2018/karc18_s16.html
カテゴリ 有機栽培 土づくり 肥料 きく 施肥 ひまわり 評価法 品種

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