基幹農業水利施設における地震観測波形記録群の逐次図化解析プログラム

タイトル 基幹農業水利施設における地震観測波形記録群の逐次図化解析プログラム
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2018~2020
研究担当者 黒田清一郎
田頭秀和
増川晋
発行年度 2018
要約 農業用ダム等の基幹農業水利施設で計測される一連の地震観測波形記録群に対して逐次解析を行うプログラムである。自動的な読み取りと図化、統計値に関する帳票ファイル作成、構造物の振動特性や地震波伝播特性とその変化を評価できる。
キーワード 基幹農業水利施設、農業用ダム、地震計、地震観測波形記録、自動解析
背景・ねらい 代表的な基幹農業水利施設である国営造成の農業用ダムでは地震計が整備されてきた。その後、近年頻発する大規模地震によって様々なレベルの地震観測記録が蓄積されている。一般に地震観測波形記録については、各地震計メーカーが設定するファイルフォーマットで保存されており、その波形記録の確認や解析への利用にあたっては、各社の発行する専用のソフトで一つ一つ図化し、CSV形式のテキストファイルなどの一般的なフォーマットに変換するか、もしくは費用をかけて各メーカーに変換を依頼する必要があった。
そこで本研究では、一連の地震観測波形記録群を自動的に読み取り、それを逐次図化し、また農業用ダムの力学特性の変化の監視や耐震評価に資する情報を評価する解析を行うプログラムを開発する。開発したプログラムによる一連の地震観測波形記録は、適切な解析を行えば、地震動が構造物に与える影響や長期的な力学特性の変化を評価することができ、また、そのような評価を行うことは地震計そのものの健全性の確認にもつながるものである。
成果の内容・特徴
  1. 農業用ダム等の基幹農業水利施設に設置された地震計について、その地震観測波形記録の原ファイルを自動的に読み取り、逐次図化と解析を行うルーティン(図1)を実行するプログラムである。
  2. 開発したプログラムは一つの地震観測波形記録に対して、10秒区間毎に区切りを行い、またその区間毎に基礎―堤頂など2点間の相関関係を解析することにより、ダムの振動特性や地震波伝播特性とその地震時における時間変化を評価できる(図2)。これにより強震動がダム堤体の震動特性、地震波伝播特性に与える影響を評価できる。
  3. 1に示した蓄積された一連の地震観測波形を自動的に読み取り逐次解析に供することができるという特徴と、2.の一つ一つの地震においての構造物の振動特性、地震波伝播特性の変化が評価できるという特徴を活かして、構造物の地震波伝播特性の長期的な変化を評価監視することができる(図3)。
  4. 以上により個々のダムの地震時の堤体内の力学特性の変化を数値化することができるプログラムである。本プログラムの適用の普及により、全国の地震計の整備された農業用ダムにおける地震観測波形記録に適用され同様の解析が行われれば、その系統的な比較分析によって、地震がダムに与える影響度の指標化等に貢献できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農業用ダムの維持管理や耐震評価に係る行政部局およびコンサルタント
  2. 普及予定地域:国営事業で造成された農業用ダム(189基)や県営事業等造成の農業用ダムを想定
  3. その他:本プログラムは波形記録ファイルを自動的に読み取り、解析を行うものであり、各ダムの管理者や土地改良調査管理事務所などが複数のダムの地震計データを集約した際に効率的に使用できるものである。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2018/18_069.html
カテゴリ 水管理

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