タイトル | Twitterの投稿解析によるゲノム編集食品に関する意識動向調査 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 本部 |
研究期間 | 2019~2020 |
研究担当者 |
田部井豊 志村幸子 權娟大 伊高静 吹野伸子 赤間剛 髙原学 大田方人 |
発行年度 | 2020 |
要約 | Twitter上の投稿(ツイート)は報道などの社会的事象に即時に反応してピーク状に増加するため、時系列的な話題性の変化を視覚化できる。さらに、投稿中の単語の出現頻度とその関係をネットワーク状に表すことで意見を集約可能であり、国民的な意識動向の把握に有効であると考える。 |
キーワード | ゲノム編集、サイエンスコミュニケーション、国民理解、Twitter、テキストマイニング |
背景・ねらい | ゲノム編集技術を用いた品種開発が進み、ゲノム編集食品として社会実装が始まる時期を迎えている。国民理解醸成の取組のためには、現在の国民の意識動向を把握し、それに基づいて理解に必要な情報を適切に提供することが不可欠となる。これまで、ゲノム編集に対する理解促進のため、我々はワークショップやサイエンスカフェといったアウトリーチ活動を積極的に実施してきている。そこでのアンケート調査から一定の意見を収集できてはいるものの、幅広い意見を収集する点においては十分でない。そこで、リアルタイムに幅広く国民の意見を収集する方法として、ウェブ上に存在するテキスト情報の活用が期待される。なかでも日本国内で4,500万人の利用者を抱えるTwitter上の投稿に対し、テキストマイニングと言われる文章解析法を応用することが、大量の国民的な意見の収集・把握に有効であることを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.ゲノム編集作物・食品に対する意見を収集するために、「ゲノム編集」と「表示」をキーワードとして含むTwitter上の投稿(ツイート)を収集して解析対象とすることができる。 2.投稿日あたりのツイート数(タイムライン)を検討すると、日々一定のツイートがされるのではなく、特定の期間に集中してピークを形成する(図1)。これらのピークは、省庁からの見解公表や報道などの社会的事象に対応していることから、それらに応答して生じるウェブ上の意見や興味の度合いを調査するためにTwitterは有用であると考えられる。 3.共起ネットワーク解析により、ツイート中の単語の出現頻度を円のサイズで表し、単語同士の関連を1ツイート中に同時に出現する頻度に応じて線でつないで表すことができる。この解析を通じてツイート全体から頻出する話題や意見のまとまりを把握でき、ツイートを分類してゲノム編集食品に対する受容性や必要とされる情報を推定することができる(図2)。 4.オリジナルツイートとリプライのみを対象に解析した場合と比べて、リツイート(オリジナルツイートの引用のみの内容)を含めた全ツイートを対象に解析すると、共起ネットワークは特定の単語に集中する。これにより、リツイートという形態でのツイートの広がりによる意見の偏りを明らかにできる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ゲノム編集作物・食品の研究開発にあたって、現在の国民的な意識動向を把握し、情報提供などの社会実装に向けた要件を求めるために活用できる。 2.オリジナルツイートと比較してリツイートに頻出する単語は偏る傾向が見られ、リツイートは否定的な意見に反応することが多いので注意が必要である。 3.Twitterは140文字の記載に限定され、またユーザーに調査対象者が限定されるため、他の方法(Webアンケート)を組み合わせることでより詳細かつ有用な情報を取りまとめることができる。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/naro/2020/naro20_s03.html |
カテゴリ | タイム 品種開発 |