道産イアコーン等トウモロコシ子実主体飼料の乳牛への給与効果と収益性評価

タイトル 道産イアコーン等トウモロコシ子実主体飼料の乳牛への給与効果と収益性評価
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2016~2020
研究担当者 上田靖子
青木康浩
根本英子
朝隈貞樹
宮地慎
多田慎吾
三谷朋弘
発行年度 2020
要約 イアコーンサイレージの乳牛への給与により、繁殖成績が改善され、酪農家の収益性も増加する。また、ハイモイスチャーシェルドコーンの密封容器としてフレコンの代わりにリユースできるプラスチック製容器を利用することにより作業人数が削減できる。
キーワード イアコーンサイレージ、ハイモイスチャーシェルドコーン、乳牛、放牧利用
背景・ねらい 飼料用トウモロコシの雌穂を収穫調製したイアコーンサイレージ(ECS)は、濃厚飼料として利用ができる乳・肉牛用自給飼料として、北海道を中心に普及が広がっている。これまでに「イアコーンサイレージ生産・利用マニュアル」第1版(2013年)および第2版(2017年)を発行し、主に生産(栽培・収穫)や乳・肉牛への給与方法、畑作農家における輪作体系への導入について紹介している。しかしながら、これまでのマニュアルでは乳牛の繁殖成績や放牧搾乳牛の飼養成績に対するECSの給与効果、また酪農家の収益性評価などについて紹介していなく、技術情報を充実させる必要がある。また、子実のみを粉砕後にサイレージ調製するハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)についても、現状では調製作業の効率化と利用後に廃棄物を出さない密封容器の選択が新たな課題となっている。そこで、道内各地におけるECS現地実証試験に基づき、ECS給与が乳牛の繁殖成績に及ぼす影響、放牧酪農家における放牧期間のECS補助飼料給与が乳牛の飼養成績に及ぼす影響、ECS給与に伴う酪農家の収益性の評価およびHMSCの調製作業効率を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.ECS給与の実証酪農家においては、採食量や乳量への影響に加え、授精回数の減少および初回授精受胎率の増加など繁殖成績も良好となる(図1)。受胎率の1ポイント増加は経産牛1頭1年あたり約1600円の増収となる*ことから、5ポイントの増加で100頭規模の場合、年間約80万円の収益の向上につながる。 *Sasaki et al., Animal Science Journal. 2020,91:e13342
2.放牧期におけるECS給与により、泌乳牛の乳中尿素態窒素 (MUN)上昇が抑制されることから、摂取蛋白質の利用性向上がうかがわれる。また、牛乳の風味に好ましい影響のある乳中ラクトン類の増加傾向がある(表1)。
3.経済性効果については、十勝地域のECSを通年給与した酪農家において、ECS通年給与開始前に比べて乳量の増加と飼料費の節減により収益性(生乳販売額-飼料費)が29%向上し(表2)、乳価の上昇がなくても増頭の方向に向かうきっかけを誘導する可能性がある。このように、ECSはこれまで示してきたような低コスト生産に加え、その利用による酪農家の収益性の改善効果も見られる。
4.HMSCの収穫・粉砕後における容器への充填・密封作業について、リユース容器であるポリドラム缶またはプラスチックコンテナを受け入れ利用農家の保有作業機や作業体系に合わせて選択することにより、これまでのフレキシブルコンテナ充填・密封作業時よりも作業人員の減少が可能となる(図2)。
5.以上の成果などをとりまとめ、「道産イアコーン等のトウモロコシ子実主体飼料の生産・利用技術マニュアル」を作成する。
成果の活用面・留意点 1.普及対象:ECS等トウモコロシ飼料生産利用技術導入に関心のある生産者農業生産法人、普及指導機関
2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:北海道内を中心とした約500ha
図表1 244495-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2020/20_011.html
カテゴリ イアコーンサイレージ くこ サイレージ調製 飼料用作物 低コスト とうもろこし 肉牛 乳牛 繁殖性改善 輪作体系

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる