タイトル | 東北地域における子実用トウモロコシの生産と子実サイレージ調製に係る費用 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
宮路広武 篠遠善哉 嶝野英子 内野宙 幸田和也 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 子実用トウモロコシ生産に係る作業時間は2.58時間/10aで、費用は約6.4万円/10a、約76円/現物1kg当である。フレコンラップ法によるトウモロコシ子実サイレージ調製に係る費用は、100ロール調製で18.1円/現物1kg、200ロール調製で12.9円/現物1kgである。 |
キーワード | 子実用トウモロコシ、子実サイレージ、水田輪作、フレコンラップ法 |
背景・ねらい | 子実用トウモロコシは、水田輪作への導入による後作への効果や管理作業の省力化が図れるなど省力栽培可能な作物として注目されている。しかし、子実用トウモロコシ生産に係る具体的な作業時間や費用は明らかにされていない。同様に、調製に係る費用や子実用トウモロコシ生産に係る収支も明らかにされていない。そこで、本研究では、水田輪作への子実用トウモロコシの導入、子実サイレージ調製を想定した実証試験に基づきこれらの点を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.子実用トウモロコシ生産に係る延作業時間は、2.46時間/10a(調製作業・畦畔管理含まず)であり、畦畔管理を含めた延作業時間は、2.58時間/10a程度である(表1)。 2.実証試験での子実用トウモロコシの全刈り収量は、現物で852kg/10a(水分30%)、水分15%換算で701kg/10aである。物財費に労働費、地代を加えた費用の合計は、約6.4万円/10aとなり、現物1kg当たりでは約76円である(表2)。 3.フレコンラップ法によるトウモロコシ子実サイレージ調製に係る延作業時間は、ロール1個(現物732kg、水分32.5%)当り、約0.5時間で、資材費、燃料費、労働費に、機械機器費を加えた費用は、100ロール調製で子実サイレージ現物1kg当たり18.1円、200ロールを調製で子実サイレージ現物1kg当たり12.9円と試算される(表3)。なお、本試験での現物収量を前提とすると、100ロールは8.6ha、200ロールは17.2ha程度の収穫面積となる。 4.子実用トウモロコシ生産に係る収支を、輸入トウモロコシ乾燥子実の流通価格(30円~35円/kg程度)などを参考に、子実サイレージ販売価格35円/kg、45円/kg、55円/kgを想定して検討する。何れのケースでも販売収入だけでは費用を賄うことは出来ない(収支A)。しかし、水田活用の直接支払交付金3.5万円/10aを加味すると、販売価格55円/kgのケースでは収支を賄うことが可能となる(収支B)。さらに、実証試験を行ったa市の産地交付金(担い手集積加算)8千円/10a(2017年)を加味すると販売価格45円/kgのケースでは、収支を賄うことが可能となる。しかし、販売価格35円/kgの場合は費用を賄うことはできないと試算される(収支C) (表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本成果は、子実用トウモロコシ生産の導入を検討する際の基礎情報として活用できる。 2.実証試験は岩手県で実施した(2017~2019年)。水稲乾田直播-子実用トウモロコシ-大豆(3年3作)の水田輪作を想定し、子実用トウモロコシの栽培は、プラウ耕(スタブルカルチ)・真空播種機体系、収穫は国産汎用コンバインを用いて行った。また、子実サイレージ調製はフレコンラップ法を用いて行った。 3.実証試験での作業能率、アメダスデータに基づき、子実用トウモロコシの作付面積18ha、延作付面積54haの経営モデルを想定した試算である。 4.子実用トウモロコシ生産に対する助成制度は、年度、地域毎に異なる。 5.トウモロコシ子実サイレージは、牛・豚・鶏のすべての畜種に給与可能である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s09.html |
カテゴリ | 乾燥 乾田直播 経営モデル 畦畔管理 サイレージ調製 省力化 水田 水稲 大豆 とうもろこし 鶏 播種 豚 輪作 |