タイトル | 新規に発見されたクモヘリカメムシ北限個体群の分布・被害発生状況と越冬可能地域の推定 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2018~2020 |
研究担当者 |
田渕研 吉村英翔 上杉龍士 大江高穂 髙橋明彦 |
発行年度 | 2020 |
要約 | クモヘリカメムシの新規北限個体群は、東北地域の斑点米カメムシ主要種であるアカスジカスミカメと比較して2019年の捕獲数は約1/10、斑点米被害率は約1/20である。岩手県における潜在的な越冬可能地域は沿岸部のみであり、現時点で県央部の水稲主要産地への影響は低いと考えられる。 |
キーワード | 斑点米カメムシ類、越冬、分布拡大、被害リスク評価、水稲 |
背景・ねらい | クモヘリカメムシは熱帯を起源とする斑点米カメムシの一種である。本種は2017年まで宮城県名取市が北限として知られていたが、2019年に岩手県陸前高田市小友地区で成虫が捕獲され、2019~2020年の2年間に渡って世代を経過したことから当該地区に定着しているものと推察される。本種は斑点米カメムシ類の中で大型の種として知られ、水稲の不稔やしいなの原因となることや青立ち症状を引き起こすなど、玄米品質への被害のみならず収量へも大きく影響しうる種であることから、当該地区での生息状況や被害状況、岩手県内での越冬可能地域の情報整理が必要である。そこで、本研究では捕獲調査による分布現況の確認と被害状況調査、また越冬可能気温を地図化して示すことにより、本種の潜在的な越冬可能地域を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.今回発見されたクモヘリカメムシ北限個体群は宮城県名取市(大江ら 2017)より90km北の地点で捕獲され、当該地区に定着している(図1)。 2.調査した11地点のうち、クモヘリカメムシが捕獲された水田は越冬場所である針葉樹林に近い傾向がある(データ省略, 一般線型モデル: p < 0.05)。 3.2019年度の当該地区において、クモヘリカメムシ捕獲数は斑点米カメムシ主要種であるアカスジカスミカメと比較して約1/10(図2)、斑点米被害率は約1/20(図3)であり、深刻な被害状況は確認されていない。 4.クモヘリカメムシの越冬可能性を左右する2月上旬最高気温は過去40年間、当該地区において変動しながら上昇しており、2016~2020年の5年間はクモヘリカメムシの越冬に適した気温であったことが示される(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.岩手県におけるクモヘリカメムシ越冬可能地域は沿岸部に限られ(図1)、水稲の主要産地である県央部で本種が分布域を広げる可能性は低いと考えられる。 2.岩手県沿岸部では今回捕獲された小友地区より北に越冬可能と予想される地域がある(図1)。本情報はクモヘリカメムシ分布拡大を事前に警戒するための資料として活用可能である 3.分布の北進が懸念されるため、今後の継続的な分布調査が必要である。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2020/tarc20_s06.html |
カテゴリ | アカスジカスミカメ カメムシ 水田 水稲 斑点米 斑点米カメムシ |