タイトル | シソモザイクウイルスの遺伝的類縁関係ならびに媒介性および宿主範囲 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 | 2011~2019 |
研究担当者 |
久保田健嗣 宇杉富雄 冨高保弘 栁澤広宣 千秋祐也 津田新哉 竹内繁治 広瀬拓也 森田泰彰 島本文子 清遠亜沙子 岡田知之 下元祥史 沖友香 下元満喜 中平知芳 下八川裕司 久家工人 横山克郎 山本正志 谷岡賀子 市川耕治 鈴木良地 田中はるか 天野淳二 松本祐保 恒川健太 武山桂子 堀川英則 伊藤涼太郎 大橋博子 後藤英世 若月洋 山崎修一 姫野和洋 田中啓二郎 松本翔太 上遠野冨士夫 多々良明夫 鍵和田聡 |
発行年度 | 2020 |
要約 | オオバ(青シソ)のモザイク病の病原体であるシソモザイクウイルスは、エマラウイルス属の新種ウイルスであるが、既知エマラウイルス15種が形成する3つのサブグループのいずれにも属さない。宿主範囲はシソ属に限られ、シソサビダニによる媒介は最短30分間の獲得吸汁で成立する。 |
キーワード | Perilla mosaic virus (PerMV)、Emaravirus、シソ、エゴマ、シソサビダニ、媒介 |
背景・ねらい | オオバの施設栽培で問題となるモザイク病は、シソモザイクウイルス(Perilla mosaic virus, PerMV)により引き起こされる。PerMVは、ゲノムの部分配列の類似性等から、Fimoviridae科Emaravirus属のウイルスと推定されるが、既知エマラウイルス種との遺伝的類縁関係や、宿主範囲、媒介性といった、検出および防除に必要な基盤情報が限られている。そこで、ウイルスゲノムの全塩基配列を解読し、既知種との類縁関係を明らかにする。また、PerMVの媒介虫であるシソサビダニによる獲得吸汁時間、保毒したシソサビダニの接種試験により宿主植物種の範囲および感染個体の病徴を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.PerMVは、他のエマラウイルスと同様に1本鎖(-)RNAをゲノムとし、エマラウイルスとして最多の10分節を有する(図1)。各分節は1つのタンパク質をコードし、ヌクレオキャプシドタンパク質をコードする分節を2種有する。P5は他のエマラウイルスとの配列類似性からRNAサイレンシングサプレッサーであることが推測されるが、P6a, P6b, P6c, P7は他のエマラウイルスを含む生物種にホモログが存在せず、機能は不明である。 2.PerMVはタンパク質P1~P4の分子系統樹解析において、既報のエマラウイルス15種と同一のクレードに属するが、15種が構成する3つのサブグループのいずれにも属さない(図2)。 3.既報のエマラウイルスの媒介フシダニ種はすべてAceria属またはPhyllocoptes属であるのに対して、PerMVの媒介虫であるシソサビダニは、Shevtchenkella属である。 4.PerMVは、シソサビダニにより最短30分の獲得吸汁により媒介される(表1)。媒介に必要な接種吸汁時間も30分以下である(結果省略)。なおシソサビダニの無保毒虫の接種では、モザイク病は生じない。 5.PerMVの感染宿主は基本的にシソ属の4種(シソ[青シソ、赤シソ、エゴマ]、レモンエゴマ、セトエゴマ、トラノオシソ)に限られる(表2)。症状はオオバのモザイク病に似るが、濃紫色の赤シソでは感染していても認識できないことがある。 |
成果の活用面・留意点 | 1.PerMVとシソサビダニによるオオバのモザイク病の防除法および検出法については、農研機構よりマニュアルが公開され、PDFファイルをダウンロードできる。https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/080862.html 2.PerMVおよびシソサビダニは、茨城県、愛知県、高知県、大分県のオオバで発生が報告されており、PerMVの国内分離株は遺伝子配列上、東日本型と西日本型に大別される。2020年末時点で国外での発生の報告はない。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2020/carc20_s18.html |
カテゴリ | えごま 施設栽培 しそ 防除 レモン |