わい化栽培リンゴ「ふじ」での着色向上のための窒素施肥基準の策定

タイトル わい化栽培リンゴ「ふじ」での着色向上のための窒素施肥基準の策定
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2015~2020
研究担当者 井上博道
澤田歩
佐藤善政
中澤みどり
小松正孝
伊藤正
土田河
草塲新之助
発行年度 2020
要約 わい化栽培「ふじ」における着色を考慮した窒素施肥基準を策定した。これまでの慣行窒素施肥量から、栽培地域の年平均気温により区分した必要施肥量に削減することで、収量や果実品質を低下させることなく、わい化栽培での「ふじ」果実の着色向上が期待できる。
キーワード 温暖化、窒素施肥、着色向上、リンゴ
背景・ねらい 近年、温暖化の影響によるリンゴ果実の着色不良が問題となっている。赤いリンゴ果皮の色素であるアントシアニンの生成は高温で抑制されるため、温暖化の進行により夏季から収穫期までの気温上昇が着色不良の発生要因となっているが、窒素施肥の過多によっても着色不良が発生することが知られていた。窒素施肥量は樹体生育、果実生産に影響することから、むやみな施肥削減は避けるべきではあるが、収量や果実品質を低下させることなく、新たなコストを発生させることなく取り組める着色向上技術としての窒素施肥基準を策定する。
成果の内容・特徴 1.青森県、秋田県、長野県、茨城県において、わい化栽培「ふじ」に対する5年間の窒素施肥試験を行ったところ、果実が徐々に着色していく夏季から収穫時期までの気温が高いほど、「ふじ」の果皮の着色は低下する(図1)。
2.図1で得られた温度と着色の関係から、8月から収穫までの平均気温を18°C条件下になるように補正すると、これまでの施肥基準の施肥量(10~15 kg/10a)と比べ、施肥量を0~6 kg/10aに削減すると着色がカラーチャート値(CC)で約0.4向上する(図2)。
3.5年間、4地域での栽培試験の結果からは窒素施肥削減による生産量や果実品質の低下、ならびに樹勢の低下は認められないことから、窒素施肥量が0~6 kg/10aであっても生産性は維持できる。ただし、園地や栽培年数によっては状況が異なることが考えられるので、年ごとに樹勢を確認する必要がある。
4.策定した窒素施肥基準は、わい化栽培「ふじ」の生産地域での年平均気温ごとに施肥量を設定し、樹勢の強弱から施肥量を加減するものである(表1)。これまでの各県の施肥基準と比較すると、場合によっては半減よりも少ない施肥量となる。樹勢は樹相診断基準に沿って行い、基本的には新梢長と葉色で判断し、必要に応じて葉中窒素濃度を分析する(表2)。
5.一般的に施肥時にはリン酸とカリウムも施肥するが、多くの樹園地ではそれらの養分が過剰に蓄積していることから施肥量を設定していない。リン酸とカリウムの施肥量についてはこれまでの施肥基準を参考にしつつ、各園地の土壌診断に基づいて適正量を決定していくことが望ましい。
成果の活用面・留意点 1.普及対象:リンゴ生産者
2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:
全国のリンゴわい化栽培面積(13,000ha)のうち、「ふじ」を栽培している樹。
3.その他:マニュアル、普及誌、講演で周知を図っているところである。
図表1 244611-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2020/20_050.html
カテゴリ カラー くわい コスト 施肥 土壌診断 りんご わい化

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