タイトル | 迅速かつ高精度な豚熱ウイルス遺伝子検査法の開発 |
---|---|
担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 |
研究期間 | 2020~2020 |
研究担当者 |
國保健浩 舛甚賢太郎 亀山健一郎 岡寺康太 北村知也 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 開発した遺伝子検査法は、制限酵素認識配列を挿入した陽性対照試料を使用することで、検体の交差汚染による誤判定を避けつつ、豚熱を迅速かつ高精度に判定できる。本法は国が定める防疫指針に基づいて都道府県が実施する豚およびイノシシを対象とした豚熱の遺伝子検査に利用される。 |
キーワード | 豚熱、遺伝子検査、コンベンショナルPCR、病性鑑定、防疫指針 |
背景・ねらい | 現在、都道府県の家畜保健衛生所等では疑い事例や死亡イノシシの豚熱ウイルス(CSFV)遺伝子検査(逆転写PCR検査)の検査数が急速に増加しているが、それに伴って検査における誤判定や判定不能例も増えている。この原因はおもに検査工程における陽性対照(またはそれに由来する増幅産物)の混入による検体の汚染であり、このような汚染の有無を的確に検知して検査結果から排除できれば診断の迅速化や精度の向上、ひいては豚熱の拡大阻止に貢献する。本研究では汚染による誤判定を防ぐため、検査における陽性対照試料の設定を見直すとともに適切な陽性対照用の試料を新たに作製し、これを用いた迅速かつ精度の高いCSFV遺伝子検出用の逆転写PCR法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.現行の検査法で標的となるCSFVの遺伝子配列を単離し、配列中に野外のCSFVには存在しない制限酵素認識配列を人為的に挿入してCSFV遺伝子検査用の陽性対照DNAを作製する。 2.現行の検査法で陽性対照として用いられるCSFVワクチン株に代えて上記の陽性対照試料を用いることに加えて、RNA抽出工程の良否を判定するために同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)を第二の陽性対照試料として用いるように検査手順を改訂する。 3.上記2種類の陽性対照試料を逆転写PCR反応に供すると、ともにおよそ284 bpの増幅産物が得られる(図、レーン1から4)。この時検体がCSFV陽性であればレーン3のように284 bpの増幅産物が得られる。次いで増幅産物を制限酵素BglIおよびEcoRVで同時に処理すると、BVDV陽性対照試料由来の増幅産物は切断されない(レーン5および6)が、CSFV遺伝子検査用陽性対照DNAに由来する産物は41、99および144bpの3つの断片に切断される(レーン8)。この時検体がCSFV陽性であれば、その増幅産物はレーン3のように41および243bpの2つの断片に切断される。この切断パターンの違いからCSFVに由来する特異的な増幅反応を峻別することができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:都道府県家畜保健衛生所、動物検疫所、動物医薬品検査所、国立環境研究所等 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: プライマーおよび陽性対照試料からなる検査キットを上記機関のべ120か所(180,000検体分)に配布済み。 3.その他:本法は「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」に収載されている。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niah/2020/20_040.html |
カテゴリ | 豚 |