DNA診断による重要害虫アザミウマ類13種の簡易識別法

タイトル DNA診断による重要害虫アザミウマ類13種の簡易識別法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
研究期間 2017~2019
研究担当者 村路雅彦
霜田政美
発行年度 2020
要約 本識別法は、種特異的なMultiplex PCRと核酸クロマト法で構成され、形態による昆虫分類の専門知識がない者でも、容易にアザミウマ類13種を識別することができるため、アザミウマ類による被害診断の精度向上と迅速化のために有効に活用できる。
キーワード アザミウマ、種識別、分子系統解析、Multiplex PCR、核酸クロマト法
背景・ねらい アザミウマ類は、食害のほか植物ウイルス病を媒介することにより、毎年、農業生産に甚大な被害を与える重要害虫である。アザミウマ類は、種類によって殺虫剤や防虫ネットなどの防除効果が異なるため、農地に発生する種を正確に判定する必要がある。しかし、アザミウマ類の体長は約1~2mm程度と微小であるため、識別・同定が容易ではなく、そのためには熟練した専門家による顕微鏡を用いた同定作業が必要となる。また、幼虫は外部形態による同定が不可能な場合も少なくない。近年、全国の都道府県において熟練した専門家が不足するなか、初心者にも利用可能で、容易にアザミウマ類の識別ができる新しい手法の開発が求められている。そこで、ゲノムDNAを用いたアザミウマ類の識別法として、種特異的なMultiplex PCRと核酸クロマト法を組み合わせた簡易な分子識別法を開発する。
成果の内容・特徴 1.本方法は、Multiplex PCRとそのPCR産物を高感度で検出する核酸クロマト法(STH-PAS法)によって構成される(図1)。まず、Multiplex PCRにより、種特異的ゲノム領域を増幅し、その反応液に核酸クロマト用のストリップを浸漬する。その後ストリップ上に出現するラインの位置の違いにより種を判定する(図2)。
2.本方法の特徴は、① 設計したPCRプライマーの種特異性が高いために誤診断が生じにくいこと、② 1回のPCRで日本産の13種類のアザミウマを同時に識別できること(2組のプライマーセットを用いた2反応を同時進行させた場合)、③ 発育の進んだ幼虫や成虫では1頭の個体から種の識別ができること、④ PCR反応後にアガロースゲル電気泳動やDNAシーケンシングなどの煩雑な操作を要しないため、初心者でも簡単に使えることなどである。
3.本方法では、PCR反応後の種の識別作業が約10分で完了する。これは従来のアガロースゲル電気泳動法やDNAシーケンシングに比べ約5分の1~10分の1である。またPCRを含めた全行程は約2時間で完了することができる。
成果の活用面・留意点 1.全国の都道府県の農業普及員や農業団体、農業法人等においてアザミウマ被害診断する際に活用が期待される。
2.準備する機材として、PCR反応を行うサーマルサイクラーが必要である。安価なコンパクト型サーマルサイクラーの利用も可能である。
3.企業と許諾契約を締結し,キットを市販化することを検討中。
図表1 244728-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2020/dna13.html
カテゴリ 害虫 市販化 植物ウイルス 防除

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