タイトル | クリック反応によるシルク基材上での細胞増殖制御 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 |
研究期間 | 2015~2020 |
研究担当者 |
寺本英敏 白川美徳 玉田 靖 |
発行年度 | 2020 |
要約 | シルクフィブロインに導入したアジド基へのクリック反応を用いて親水性ポリマーを結合させることにより、フィブロインへの細胞接着を低減できる。紫外線照射によってあらかじめ部分的にアジド基を破壊しておくことにより、フィブロイン基材上の特定の部位のみで細胞を増殖させることができる。 |
キーワード | シルク、フィブロイン、アジド基、クリック反応、細胞増殖制御 |
背景・ねらい | カイコが作るシルクフィブロインは機械的強度と生体安全性に優れることから、組織再生や薬剤送達等の素材としての利用研究が進んでいる。一方で、フィブロインは天然由来の素材であるためその特性を分子レベルで自在に改変することは困難である。研究ユニットはアジド基という天然にない官能基が導入されたフィブロインの生産技術を有している。クリック反応という穏和で安全性の高い化学反応を用いることで、アジド基に任意の機能分子を結合させてフィブロインの特性を改変することができる。 本研究では、クリック反応を用いてフィブロインフィルムに親水性ポリマー(ポリエチレングリコール,PEG)を結合させることにより、フィブロインフィルムへの細胞接着を低減できることを示す。フィブロイン中のアジド基は紫外線照射によって破壊することができる。あらかじめアジド基を部分的に破壊したフィブロインフィルムにPEGを結合させて細胞を培養することにより、フィブロインフィルム上の特定の部位のみで細胞を増殖させられることを示す。 |
成果の内容・特徴 | 1.アジド基が導入されたフィブロインを用いることにより、クリック反応によってアジド基に選択的にPEGを結合させたフィブロインを簡便に得ることができる(図1)。 2.異なる分子量のPEG(5, 10, 20, 30 kDa)を結合させたフィブロインフィルム上への初期細胞接着数は、PEGの分子量に依存して低減する(図2)。 3.マスクをかぶせた状態でフィブロインフィルムに紫外線を照射することによって、特定の部位のみにPEGを結合させたフィブロインフィルムを得ることができる(図3)。 4.特定の部位のみにPEG(20 kDa)を結合させたフィブロインフィルム上で細胞を培養することで、PEGが結合していない部位のみで細胞を増殖させることができる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.本技術はフィブロインフィルムからなる組織再生担体への応用が期待される。 2.本技術はPEG以外の任意の機能分子に対しても応用が可能である。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nias/2020/nias20_s15.html |
カテゴリ | カイコ 薬剤 |