イネコアコレクションのゲノム解析による高効率な遺伝子多型の検出

タイトル イネコアコレクションのゲノム解析による高効率な遺伝子多型の検出
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2018~2020
研究担当者 田中伸裕
マシューシェントン
江花薫子
発行年度 2020
要約 遺伝資源センターが有するイネコアコレクションは、約4万点のイネ遺伝資源の多様性を概観できるツールである。このゲノム解析を実施しGWAS解析を行うと、集団構造の特殊性や品種数の少なさにもかかわらず、関連遺伝子領域の推定や関連領域の詳細な遺伝子多型を検出することができる。
キーワード ゲノム解析、遺伝資源、コアコレクション、イネ、GWAS
背景・ねらい 温暖化などの気象変動や消費者のニーズの変化に対応するためには、未利用のイネ遺伝資源から有望な系統を効率的に発掘することが鍵となる。農研機構遺伝資源センターでは、保有する約4万点のイネ系統の多様性を保持するように選んだ世界イネコアコレクション(WRC)と、日本在来イネコアコレクション(JRC)を保存・配布している。これらのゲノム情報を整備し、全ての遺伝子について多型情報を公開することで、育種家が着目する形質に関連する遺伝子領域の推定や有用遺伝子の種内多型を効率的に獲得しやすくし、イネの遺伝育種研究に貢献することを目的とする。
成果の内容・特徴 1.ゲノムデータに基づく多様性解析で、世界のイネコアコレクション (WRC)は3品種群に分かれ、各品種群内の詳細な分類類も示される(図1A)。日本在来イネコアコレクション (JRC)は大半がジャポニカに分類される (図1B)。
2.WRC、JRCのゲノム解析結果を用いてゲノムワイド関連解析 (GWAS)を行うことで、農業形質に関連した遺伝子の効率的な同定が可能である。図2にWRC、JRCの葉身幅を用いたGWASの一例を示す。第4染色体上にピークが検出され、この領域に葉身幅を支配する遺伝子が座乗していると推測できる。この領域には、実際に、葉身幅を制御するNAL1遺伝子が座乗している。
3.WRC、JRCのゲノム解析結果は多品種ゲノム供覧データベースTASUKE+に掲載されており、各遺伝子の多型情報を簡単に閲覧できる。図3は、図2で得られたピークの近傍に座上しているNAL1遺伝子上の原因変異を示している。このようにTASUKE+で閲覧できる多型情報を参照することで、原因変異の絞り込みが可能である。
成果の活用面・留意点 1.得られたWRC、JRCのゲノムデータは日本DNAデータバンク (DDBJ)に登録済みであり、ダウンロードして利用可能である。遺伝資源センターのコアコレクション情報ページからは、種子の配布申請および配列データへのリンクが張られている。
2.WRCは69系統、JRCは50系統と系統数が少ないため、GWASを行うための形質調査を比較的容易に行うことができる利点を持つ。一方で、複数の遺伝子座で制御される形質や、一遺伝子座に対立遺伝子が多数存在する場合のGWAS解析には検出力が十分ではない。
3.配列データから目的の遺伝子における変異を明らかにするにはバイオインフォマティクスの知識や解析用PCが必要だが、TASUKE+を利用すれば、知識や解析用設備を持たないユーザーもWRC、JRCの多型情報を視覚的に取得でき、研究対象とする遺伝子の多型情報を収集できる。
図表1 244750-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2020/nics20_s14.html
カテゴリ 育種 遺伝資源 データベース 品種

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