タイトル | 圃場・種イモの診断に基づくショウガ青枯病防除技術体系 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター |
研究期間 | 2017~2019 |
研究担当者 |
堀田光生 小原裕三 酒井順子 古屋成人 松元賢 飯山和弘 土屋健一 森田泰彰 矢野和孝 沖友香 林一沙 島本文子 清遠亜沙子 山本彩 森田展樹 安次富厚 大城篤 山城麻希 河野伸二 稲田拓郎 親富祖明 澤岻哲也 松山隆志 中村吉秀 江頭桃子 難波信行 矢野広彰 細美祐子 佐藤恒啓 外間康弘 大城和久 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 土壌・種イモ伝染性で難防除なショウガ青枯病の防除技術体系を開発・確立した。本体系は、病害発生時、圃場対策、種イモ対策の主に3つの場面に分けて、青枯病の診断および汚染程度に応じた防除対策を行う。 |
キーワード | ショウガ、青枯病、診断、土壌還元消毒、種イモ消毒、防除体系 |
背景・ねらい | ショウガは日本古来の作物であり、地域特産物としても重要な品目であるが、1997年以降に発生した青枯病が、ショウガ栽培が盛んな高知県、九州地域などにおいて多発し、収量大幅減や品質低下などの被害が相次いで報告されている。本病の防除試験はこれまでほとんど行われておらず、有効な農薬も報告されていない。また、生産現場では、発病株の早期抜き取り、発病圃場での栽培回避、排水改良、輪作といった対策が行われているが、抜本的な問題解決には至っていない。そこで、ショウガ青枯病の被害を大幅に低減することを目的に、「ショウガ青枯病菌の特異的な検出・診断法」と、「低濃度エタノール土壌還元消毒法」、「石灰窒素を用いた太陽熱土壌消毒法」、「種イモ温湯消毒法」などの消毒技術の開発、およびこれらをまとめた防除技術体系を確立し、標準作業手順書(SOP)にまとめる。 |
成果の内容・特徴 | 1.本技術体系では「病害発生時の対処方法」、「圃場対策」、「種イモ対策」の主に3つの場面に分けて防除対策を行う(図1)。 2.「病害発生時の対処方法」として、発病植物の病徴観察(図2)、病害診断・同定後に発病株周辺の抜き取り、ビニル被覆などの応急措置を行う。 3.「圃場対策」として、Bio-PCR法による土壌中の病原菌調査の結果に基づいて圃場の汚染程度を判定し、病原菌が土壌から検出された時は「低濃度エタノール土壌還元消毒」(平地の場合)、「石灰窒素を用いた太陽熱土壌消毒」(傾斜地、灌水不足の場合)などの土壌消毒を行うとともに、消毒後の病原菌調査により、その消毒効果を検証した後にショウガ栽培を行う(図3)。土壌消毒を行う場合は、消毒適期(夏場)が栽培時期と重なるため、一作休む必要がある。 4.「種イモ対策」として、種イモ汚染の可能性がある場合は、植え付け前の外見調査後に種イモ温湯消毒(50°C、10分処理)を行い、消毒後に病原菌の有無を調査して、種イモ使用を判断する。 5.青枯病が発生した圃場では、30%以上減収すると収支が赤字になり、また、病原菌が土壌伝染して被害が継続、拡大する可能性が考えられる。「圃場対策」を行って青枯病の発生が抑止された場合、対策費用を経営費に追加しても、所得率を14~33%程度まで回復可能と試算される(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:普及指導機関。 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国、ショウガ栽培圃場100ha。 本防除体系の普及により、青枯病の発病面積を現在の半分以下、発病圃場における減収を30%以下にすることで、ショウガ出荷量が全国で約900t、販売額が約6億円増加すると期待できる。 本防除体系は、国内で他のショウガ科作物(ウコン、ミョウガ等)で発生している青枯病対策にも応用可能と考えられる。 3.その他:「圃場・種イモの診断に基づくショウガ青枯病防除標準作業手順書」 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2020/20_069.html |
カテゴリ | 青枯れ病 うこん 温湯消毒 経営管理 傾斜地 出荷調整 しょうが 土壌消毒 農薬 防除 みょうが 輪作 |