風乾処理によるネギ属遺伝資源の-80°C長期保存技術

タイトル 風乾処理によるネギ属遺伝資源の-80°C長期保存技術
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 遺伝資源センター
研究期間 2018~2020
研究担当者 田中大介
山本伸一
新野孝男
松本敏一
発行年度 2020
要約 ネギ属遺伝資源を長期間安定的に保存できる技術である。ネギ属茎頂に処理液で脱水耐性を付与した後、風乾で脱水し-80°C冷凍庫で急速冷却すると、一年間保存後の再生率は液体窒素を用いた超低温保存品と大差なく、安定的に長期保存できる。
キーワード ネギ属(Allium)遺伝資源、ニンニク、脱水、風乾、超低温保存
背景・ねらい ネギ属作物はニンニク、ワケギ、ラッキョウなどを含み、種子が得られる品種・系統が少なく、栄養繁殖で保存されている。圃場栽培での保存では、点数が制約される、労力や経費がかさむ、病害虫による加害や自然災害で消滅する危険性があるなど多くの問題がある。このため、並行して茎頂培養による原品種の保存や増殖を行う必要があるが、定期的に多量の植物を継代する労力も小さくないことから、ネギ属作物の鱗茎から無菌的にウイルスフリー茎頂を摘出し保存する超低温保存技術開発が世界的に行われている。現在の技術では、対象作物に合わせた手法の最適化や超低温保存用の液体窒素タンクなどの施設が必要である。一方で、ネギ属茎頂はガラス状態であれば安定的に保存が可能であり、脱ガラス化に伴う細胞内凍結による致死的な障害を受けにくい手法であれば液体窒素のような極低温でない環境でも保存が可能と考えられる。そこで本研究では、-80°Cの冷凍庫を用いてネギ属遺伝資源を長期保存可能な手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.ネギ属の茎頂(約2 mmサイズ)を脱水耐性付与処理液に30分浸けた後、クリーンベンチ内で風乾(空気乾燥)処理し、クライオチューブ(2 ml容)に入れて-80°C冷凍庫に移すシンプルな作業で長期保存できる(図1)。
2.ニンニク茎頂の場合、風乾処理120分後のガラス転移温度は-39.4°Cであり(表1)、-80°C冷凍庫においてガラス状態で安定的に保存できる。
3.ニンニク茎頂においては14日間保存後の再生率は93-100%と高く(図2)、1年間-80°Cで保存しても再生率は変わらない(表2)。また3種7系統のネギ属遺伝資源についても、本手法により平均95%と極めて高い再生率を示す(表3)。
成果の活用面・留意点 1.農業生物資源ジーンバンク事業等で保存する多数のネギ属遺伝資源に本技術を活用することによって、圃場保存に係る業務量を大幅に削減でき、消滅のリスクも軽減できる。
2.超低温保存のために液体窒素を必要としないことから、様々なネギ属遺伝資源を保存したい民間業者や大学等の研究機関に容易に技術導入することが可能である。
図表1 244796-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/ngrc/2020/ngrc20_s01.html
カテゴリ 遺伝資源 害虫 乾燥 くり 長期保存・貯蔵 にんにく ねぎ 繁殖性改善 品種 らっきょう わけぎ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる