タイトル | 量的遺伝子座MP3の導入は養分欠乏によるイネの穂数不足を緩和する |
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担当機関 | (国)国際農林水産業研究センター |
研究期間 | 2017~2021 |
研究担当者 |
髙井俊之 辻本泰弘 浅井英利 西垣智弘 石崎琢磨 阪田光和 RAKOTOARISOANjato Mickal |
発行年度 | 2020 |
要約 | サブサハラアフリカにみられる養分欠乏土壌では、イネの分げつ発生の抑制に伴う穂数不足が収量制限要因の一つとなっている。日本型品種コシヒカリからインド型多収品種タカナリに導入した量的遺伝子座MP3は、マダガスカルの2.0~4.1 t ha-1の低収量環境において、分げつ発生を促進し、穂数および籾数を増加させることができる。 |
キーワード | イネ マダガスカル 養分欠乏 分げつ発生 MP3 |
背景・ねらい | 窒素やリンなどの養分欠乏土壌が広く分布するサブサハラアフリカでは、分げつ発生の抑制に伴う穂数不足がイネの低収量要因の一つとなっている。遺伝的改良により養分欠乏土壌においても分げつ発生を促進させることができれば、こうした環境でのイネの生産性向上に繋がることが期待できる。日本型品種コシヒカリから見出され、インド型多収品種タカナリに導入された量的遺伝子座MP3 (MORE PANICLES 3)は、7 t ha-1以上の多収環境において、タカナリの一穂籾数を維持しつつ穂数を増加させる効果を持つことが分かっている(Takai et al. 2014)。そのため、MP3はサブサハラアフリカの収量性の低い養分欠乏土壌で生産性を改善できる可能性がある。本研究では、マダガスカルの養分欠乏圃場を対象に、MP3がイネの分げつ数、穂数、籾数、および収量に及ぼす効果を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.マダガスカルのリン欠乏土壌を用いたポット試験において、タカナリにコシヒカリ由来の量的遺伝子座MP3を導入した準同質遺伝子系統(NIL-MP3)ではタカナリに比べて、リン施肥量に関わらず分げつ数が有意に多くなる(図1)。 2.地点、年次、および施肥水準の違いにより収量水準が2.0~4.1 t ha-1となるマダガスカルの12の栽培環境において、NIL-MP3ではタカナリに比べて、穂数は平均19%、籾数は平均12%有意に多くなる(図2)。ただし、収量水準が1.3 t ha-1となる極低収量環境ではその効果はみられない。 |
成果の活用面・留意点 | 1.MP3はマダガスカルのリン欠乏土壌で分げつ数を増加させる効果を有しており、同様の生産環境および収量水準にあるサブサハラアフリカ地域でのイネの穂数不足を緩和することが期待される。 2.収量水準が1.3 t ha-1の極低収量環境では、MP3は穂数を増加させる効果を発揮できないため、施肥等の栽培管理とMP3の組合せが必要となる。 3.MP3の増収効果については、サブサハラアフリカの環境に適応した現地主力品種にMP3を導入して、今後検証する。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_b01 |
カテゴリ | 栽培技術 施肥 品種 |