タイトル | タイ発酵型米麺の液状化及び予防のためのpH管理の経営的評価 |
---|---|
担当機関 | (国)国際農林水産業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
草野栄一 丸井淳一朗 吉橋忠 |
発行年度 | 2020 |
要約 | タイ発酵型米麺の液状化は、小規模な発酵型米麺企業に大幅な減収と経営の不安定化をもたらし得る。麺の液状化予防のための製造工程におけるpH計測及び、酸性の洗浄水による麺の洗浄にかかる費用は一般的な保存料を使用するよりも安価であり、経営安定化の効果が大きい。 |
キーワード | タイ 発酵型米麺 液状化 pH管理 経営的評価 |
背景・ねらい | タイをはじめ大メコン圏で広く生産、消費される発酵型米麺は、製造後に急激に麺の形が崩れ液状化する場合があり、生産・流通上の問題となっている。国際農研では液状化の原因を特定するとともに、麺の液状化予防には、製造工程におけるpHの適切な計測・管理と、酸性の洗浄水による麺の洗浄が有効であることを明らかにした(令和元年度国際農林水産業研究成果情報C01「タイ発酵型麺の液状化は、麺をpH 4程度の酸性に保つことで抑制できる」)。そこで、生産現場におけるpH管理を促すため、タイにおいて代表的な小規模発酵型米麺工場の経営的評価を行い、麺の液状化被害及びpH管理がもたらす便益を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.タイにおいて代表的な小規模発酵型米麺企業の経営評価モデル(図1)を構築して行った経営シミュレーションによると、麺の液状化は大幅な減収と経営の不安定化をもたらし得る(図2)。麺の液状化予防は、これらのリスクを低下させ発酵型米粉・米麺両方の製造業者の経営安定化に寄与する。 2.製造工程における適切なpH管理に必要なpH計測費用が総費用に占める割合は、pH試験紙を用いた場合、極めて小さい(表1A:試算対象とした小規模工場の場合は約370バーツ/月)。ただし、計測箇所が多い場合は、計測のコストと簡便さの観点からpH計の使用が推奨される。 3.麺の液状化を防ぐために有効な酸性の洗浄水による麺の洗浄にかかる費用は、一般的な保存料を使用した場合よりも安価であり、総費用に占める割合はpH計測費用と同様極めて小さい(表1B:試算対象工場の場合約220バーツ/月)。 4.これらの結果は、伝統的製法を用いる小規模な発酵型米麺企業にとって、pHに着目した基本的な工程管理は導入が比較的容易で経営安定化の効果が大きいことを示唆している。 |
成果の活用面・留意点 | 1.液状化防止技術導入の経営への影響が明らかになり、技術導入が促進されることで、発酵型米麺企業の経営安定化と食品ロスの削減が期待できる。 発酵型米粉・米麺生産者は、表1を参考に自工場でのpH計測の頻度や方法、酢酸等の使用を検討できる。 2.本成果は、タイにおいて一般的な、伝統的な製法を用いる小規模な製粉・製麺企業から得られたデータに基づくものである。活用の際には事業者の規模や技術、水質等の生産条件の違いを十分に考慮する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
研究内容 | https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2020_c02 |
カテゴリ | 経営管理 コスト |