タイトル | 高周波パルス加熱による果実・野菜ペーストの高品質殺菌 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 |
研究期間 | 2016~2021 |
研究担当者 |
植村邦彦 長屋美玖 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 高周波パルス加熱(HFP)により、果実や野菜のペーストを連続、迅速、均一に加熱殺菌する技術である。農産物素材の色や風味を保持したペーストを長期間保存可能とし、フードロスの低減、食材としての付加価値向上、輸出拡大に有効な殺菌技術である。 |
キーワード | 双極性高周波パルス、高粘度液体、均一迅速加熱、殺菌、酵素失活 |
背景・ねらい | 農産物をまるごと破砕したペースト状食材は、食品加工の素材として広く利用されるが、酵素反応による酸化や微生物汚染による腐敗が進行しやすく、保存性が低くなることが問題であり、保存性を高める加工技術の開発が求められている。 そこで、本研究では破砕したペースト状食材を、直ちに高周波パルス加熱することにより、酵素失活と殺菌を短時間で実現し、農産物本来の色や風味を変化させることなく長期間保存可能なペースト状食材を製造する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本殺菌装置の高周波パルス印加部は、双極性高周波パルス電源、3枚の平行平板電極によって構成される(図1)。高粘度のペースト状食品を連続的(120 kg/h)に、0.4秒で100°C以上に昇温可能であり、図2に高周波パルス加熱したペーストの温度履歴を示す。 2. 高周波パルス加熱したリンゴピューレは、ポリフェノールオキシダーゼおよびペクチンメチルエステラーゼを失活するため、8ヶ月間保存で固液分離することなく、褐変が抑制される(図3)。 3. 大豆を加水して破砕した呉を高周波パルスで120°Cまで加熱殺菌したものは、枯草菌芽胞及びリポキシゲナーゼが失活し、GC-MSを用いて測定した臭気成分で不快臭とされる2-ペンチルフランの発生が抑制される(図4)。 4. 高周波パルス加熱は1時間当たり120 kgの連続処理が可能であり、必要に応じて処理量を増大することが可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 果実や野菜をまるごと破砕したペースト食材は、廃棄物が少なく、フードロスの低減に寄与する。 2. 果実や野菜のペーストで、無添加で変色や風味の変化が少なく、保存性が良いものは食材としての付加価値が高い。 3. 高周波パルス加熱装置は高価であるが、ランニングコストは従来の加熱方法よりも低い。 4. 高周波パルス加熱は、高粘度の液体を大量、迅速、均一に加熱可能な技術であり、様々な農産物の一次加工方法として応用展開が期待される。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nfri/2021/nfri21_s06.html |
カテゴリ | 加工 コスト 大豆 輸出 りんご |