タイトル | 沖縄県八重山諸島では多様なアルボウイルスが分離される |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究部門 |
研究期間 | 2014~2021 |
研究担当者 |
室田勝功 石井圭子 銘苅裕二 荒木美穂 須田遊人 白藤浩明 小林大介 伊澤晴彦 梁瀬徹 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 2014年から2019年にかけて沖縄県八重山諸島で収集した牛血液から多様な節足動物媒介ウイルスが分離されている。八重山諸島での継続的なサーベイランスはウイルスの国内侵入をいち早く検出することに貢献する。 |
キーワード | アルボウイルス、牛、オルビウイルス、次世代シーケンサー |
背景・ねらい | 節足動物媒介ウイルス(アルボウイルス)は、蚊やヌカカ、マダニ等の吸血性節足動物により媒介されるウイルスの総称である。牛のアルボウイルスは、熱帯・亜熱帯地域に常在しているものが、夏季に媒介節足動物を介して国内に侵入すると考えられている。日本の南西端に位置し、アルボウイルスの常在地である熱帯地域に隣接する沖縄県の八重山諸島におけるアルボウイルスの国内侵入状況を明らかにするため、牛の血液材料を収集し、ウイルス分離を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. 2014年から2019年に、沖縄県八重山諸島の牛308頭から採取した血液を、ハムスター由来の培養細胞2種(BHK-21細胞、HmLu-1細胞)および蚊由来の培養細胞C6/36細胞に接種し、細胞変性効果を示す細胞培養上清からウイルスを分離する。 2. 分離された43株のウイルスに対し、既知のアルボウイルスに対するプライマーを用いたRT-PCRと、未知のウイルスに対する次世代シークエンス解析を行い、ピートンウイルス、ブルータングウイルス(血清型12、16)、流行性出血病ウイルス(血清型5、6、7)、パリアムウイルス群に属するディアギュラウイルス、ブニップクリークウイルス、および国内で分離報告のないユンナンオルビウイルス、コワンシーオルビウイルス、およびヨナグニオルビウイルスであることが判明する(図1)。 3. C6/36細胞でのみ分離されるウイルスも見られることから、哺乳動物、節足動物双方の細胞を用いることでウイルス分離の効率が向上し、多様なアルボウイルスの侵入状況が明らかになる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 八重山諸島におけるアルボウイルスのサーベイラインスでは、国内に侵入した多様なウイルスをいち早く検出することが可能である。 2. 分離された国内新規のウイルスについては、得られた配列情報をもとにプライマーの設計をし、RT-PCRによる検出法を確立することで、今後の継続的な調査を行うことが容易になる。 3. これらは健康な牛の血液から分離されたウイルスであり、媒介する昆虫や病原性については不明な点が多いため、今後も引き続き、感染状況や吸血性節足動物のウイルス保有状況の調査を続ける必要がある。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niah/2021/niah21_s12.html |
カテゴリ | 亜熱帯 |