粘土含量40%以上の圃場で無代かき水稲の導入により後作大豆の高収量を維持できる

タイトル 粘土含量40%以上の圃場で無代かき水稲の導入により後作大豆の高収量を維持できる
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2017~2021
研究担当者 鮫島啓彰
中村卓司
八木岡敦
君和田健二
長南友也
山根剛
森本晶
大友量
長岡一成
岡紀邦
大橋優二
発行年度 2021
要約 代かき移植水稲の後作大豆では、作土中の粘土含量の増加とともに土壌の保水性が低下して、収量が低下するが、無代かき移植や乾田直播水稲の後作では粘土含量によらず収量を維持できる。
キーワード 空知型輪作体系、無代かき水稲栽培、乾田直播水稲栽培、大豆、収量、北海道
背景・ねらい 水稲の作付けが盛んな空知地域では、大豆や小麦の連作障害の回避のため、それら畑作物の作付けに水稲を組み込んだ「空知型輪作体系」が広く実施されている。空知型輪作体系において、前作水稲の耕起作付け体系を3処理(代かき移植、無代かき移植、乾田直播処理)設定した現地調査では、無代かき移植および乾田直播処理で、代かき移植処理と比べて後作大豆の収量がそれぞれ17%および15%の増加したことが既に報告されている。そこで、本研究では、上述の現地調査中に測定した土壌物理性の指標に着目し、後作大豆収量の処理間差を説明する指標を探索する。
成果の内容・特徴 1. 作土中の粘土含量が低い(40%以下)場合、大豆収量に明確な処理間差は確認できない。代かき移植処理では、粘土含量が増加するほど後作大豆の収量が低下するが、無代かき移植や乾田直播処理では、粘土含量が増加しても大豆収量は低下しない(図1)。
2. 全47圃場の結果では、前作水稲の耕起作付け体系によって有意に変化する土壌物理性の指標は見つからない。しかし、粘土含量が高い(40%以上)34圃場に着目すると、無代かき移植水稲や乾田直播水稲の後作で、代かき移植水稲の後作の場合より、易有効水分の体積含水率(土壌の保水性)が有意に高い(図2)。
3. 代かき移植処理では、粘土含量が増加するにつれ土壌の保水性が急激に低下する(図3A)。また、代かき移植処理では、土壌の保水性と大豆収量が有意な正の相関を示す(図3B)。
4. 無代かき移植や乾田直播処理では、粘土割合の低下に伴う土壌の保水性の低下が、代かき移植処理より緩やかである(図3A)。したがって、無代かき移植や乾田直播処理では、粘土含量にかかわらず、土壌の保水性の圃場間差が小さくなり、土壌の保水性と大豆収量に有意な相関は見られない(図3B)。
5. 以上から、代かき移植水稲の後作では粘土含量の増加とともに土壌の保水性が低下するため、大豆収量が低下するリスクが高まる。すなわち、粘土含量が高い(40%以上)圃場に代かきを行わない水稲栽培(無代かき移植や乾田直播)を導入することで後作大豆の高収量を維持することが可能になり、代かき移植水稲の場合と比較して増収が期待できる。
成果の活用面・留意点 1. 無代かき水稲栽培が一部導入されている岩見沢市の21生産者の47圃場で得られた結果である。他の地域についてはさらに調査が必要である。
2. 大豆は各生産者の判断による通常栽培とする。
図表1 248971-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/harc/2021/harc21_s15.html
カテゴリ 乾田直播 小麦 水稲 大豆 輪作体系 連作障害

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる