高水分条件で播種可能な畝立て乾田直播機

タイトル 高水分条件で播種可能な畝立て乾田直播機
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九沖研
研究期間 2018~2021
研究担当者 深見公一郎
高橋仁康
中野恵子
西村修
淺野和人
関英一
國廣愛彦
発行年度 2021
要約 暖地二毛作の乾田直播栽培で、表面が硬い台形断面状の播種畝を成形しながら畝の天面に播種することで、圃場の漏水防止、降雨・滞水に伴う種子の酸欠防止を図る播種機である。降雨後の灰色低地土において、通常では播種できない塑性限界より10%高い水分条件でも播種可能である。
キーワード 暖地二毛作、乾田直播、畝立て直播機、高水分条件
背景・ねらい 水稲の乾田直播栽培は、規模拡大が進む九州北部地域において作業能率の向上が期待できる有用な技術である。しかし、水稲-麦類-大豆-麦類の二毛作体系では、代かきに相当する乾田漏水防止対策および播種の期間が短いため、高能率かつ天候や湿田に左右されにくい乾田直播技術が必要である。特に、圃場が乾きにくい地域では、降雨によって播種作業とその後のローラ鎮圧作業(漏水防止対策)が遅れるため、規模が大きい農家ほど適期播種を逃すリスクが高まることから、高水分条件で使用可能な直播技術が不可欠となる。
そこで、水田輪作50haの大規模農家を対象に、漏水防止機能を有し、降雨後の高水分条件や半湿田条件でも効率的に播種作業が可能な畝立て乾田直播機を開発する。
成果の内容・特徴 1. 開発機はトラクタの後方に装着し、土壌反転ディスクを利用した畝成形補助部でタイヤ跡を均し、ソロバン玉状の回転・駆動する畝成形部で表面が硬い台形状の播種畝を成形して圃場の漏水防止を図り、直播作業部、種子繰出部および覆土鎮圧部で畝の天面に播種することで、生育初期の降雨・滞水による湿害回避を図る構造である(図1)。
2. 開発機の直播作業部は、作溝ディスクの土付着防止スクレーパと作物残渣進入防止スクレーパ(図1)により、高水分かつ麦作後の作物残渣が多い圃場条件において播種作業が可能になる。
3. 開発機は、水稲以外に大豆や麦類播種にも対応し、作業幅:210 cm、条間:30cm、条数:7で、適用トラクタサイズは40~60 PS(29.4~44.1kW)である。
4. 開発機は、灰色低地土圃場(熊本県玉名市)において、播種2週間前から播種前日までに214mmの降雨があり、通常では播種できない塑性限界より10%高い水分条件(42%)でも播種作業が可能である(図2)。
5. 開発機は播種直後から2日目にかけ約80 mmの降雨(図2)に見舞われても、湿害等は確認されず苗立率は9割程度確保できる(図3)。
6. 開発機は、作業速度3.5 km/hで作業能率12 min/10a(圃場作業効率70%)程度になり、1日6 時間で3 ha播種した場合、25 ha(水稲転作率50%)は約8日で終了する。
7. 開発機の坪刈収量(kg/10a:品種「ヒノヒカリ」)は、試験場内(福岡県筑後市)および現地圃場(熊本県玉名市)において(畝立直播区:541±20、慣行移植区:562±35)および(畝立直播区:531±59、慣行移植区:483±46)となり、移植と同等の値が得られる(図4)。
成果の活用面・留意点 1. 普及対象:半湿田(乾きにくい)地域の水田輪作を実施する50~100 ha規模の農業経営体。
2. 普及予定地域・普及台数:九州を中心に5年間で1000 ha、50台程度普及すると見込まれる。
3. その他:2021年度中に市販化予定。SOP(NARO方式乾田直播-九州地方版)に追記する。
図表1 249029-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/karc/2021/21_009.html
カテゴリ 乾田直播 規模拡大 経営管理 湿害 市販化 水田 水稲 大豆 二毛作 播種 品種 輪作

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