タイトル | トマト果実の糖度およびグルタミン酸含量の予測・制御プログラム |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野花研 |
研究期間 | 2014~2021 |
研究担当者 |
筧雄介 今西俊介 安藤聡 岸茂樹 大石直記 前島慎一郎 今原淳吾 樋江井清隆 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 1作分の栽培環境、植物体内の変動および品質データをAI技術で比較解析することによって、品種や産地に拘わらず、トマトの糖度およびグルタミン酸含量を予測できる。また、目標糖度やグルタミン酸含量の入力により、その達成に必要な栽培条件が提示できる。 |
キーワード | 環境制御、トマト、糖度、品質、AI |
背景・ねらい | 従来、農業では栽培を繰り返す試行錯誤により、作物の品質の改善を図ってきた。トマトの場合、求められる品質や機能性成分などの成分量が多様化しているが、毎年の気象条件が変化する中で、試行錯誤により糖度や特定の成分を定量的に制御することは極めて困難である。そこで、近年発達してきたAI技術やセンサー、植物体内の変動(遺伝子発現や代謝産物等の変動)を解析する技術を応用し、トマト果実成分に関する高精度な栽培シミュレーションを実現した。栽培条件に影響を受ける植物体内の変動を利用すれば、品種・栽培地域の特性に応じた品質や成分の予測および制御が実現できる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本プログラムは、品種情報を含む栽培環境の情報と、収穫時のトマト果実の形質(糖度やアミノ酸成分含量等)のデータから、構築した品質・成分量予測シミュレーションモデル(図1)によって計算が行われる。 2. 農作物体内の変動から解明した、生育を左右する生理機構に関する知見を適用することで、短期間で収集可能なデータからでも、農作物の品種・品目の特性に応じた栽培環境の条件と品質・成分量の関係性を予測シミュレーションするモデルを構築することができる(図1)。 3. AIによる大量のモデルシミュレーションのデータから、所望する成分含量に対応する栽培環境の条件を推定することが可能である。品種と目指すトマト果実の糖度・アミノ酸含量を入力すると、目標を達成する生産方法を提示することができる(図2)。「桃太郎ヨーク」でプログラム提示に近づくように栽培管理し、目標の糖度8以上を安定して達成できる(図3)。提示通り栽培管理した場合、収穫予定日以降の果実が目標値(糖度)±5%以内の精度を持つ。 4. 糖度は4から9、グルタミン酸含有量は1,000mg/kg FWから3,000mg/kg FWの範囲での独立した制御が可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 普及対象:施設園芸生産者、研究・普及指導機関、ICTベンダー等 2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:高糖度トマト栽培をしている・将来する予定のある栽培者、トマト養液栽培面積749haの5%(およそ40ha)が目標。 3. その他: 本手法を導入することにより、栽培計画時にトマトの果実品質を高精度で予測・制御が可能になるため、販売計画を立てやすくなる。 4. 本プログラムは、農研機構職務作成プログラムとして登録し、クラウドサービス(API)として提供予定である。 5. ロックウール、NFT栽培、養液土耕ポット栽培では別々の入出力項目が用意されている。例えば養液ロックウール栽培の場合、入力必須項目は品種・定植日・目標品質(糖度やアミノ酸量)。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nivfs/2021/21_016.html |
カテゴリ | ICT 環境制御 機能性成分 栽培技術 栽培条件 施設園芸 トマト 品種 養液栽培 |