タイトル | 全世界を対象とした穀物の収量予測情報の提供に向けて予測の速報性と精度を確認 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境研究部門 |
研究期間 | 2019~2021 |
研究担当者 |
飯泉仁之直 金元植 Yonghee Shin Jaewon Choi |
発行年度 | 2021 |
要約 | 農研機構とAPEC気候センターが共同で行っている収量予測について、米国と欧州12ヶ国を対象に2019年産収量の予測精度を検証した結果、米国農務省などの予測に比べてやや精度が低いものの、既存の予測が公表される1~6ヶ月前(収穫の3~6ヶ月前)に収量の概況が把握できる。 |
キーワード | 収量予測、トウモロコシ、コメ、コムギ、ダイズ |
背景・ねらい | 食料のサプライチェーンのグローバル化と気候変動に伴う極端気象の増加により、食料生産を世界規模で予測することがますます重要になってきている。こうした必要性に応えるため、農研機構はAPEC気候センター(APCC)と共同で、主要穀物について全世界を対象とした収量予測の手法を開発し、2019年6月から各国の食糧機関などに収量予測情報を毎月提供するサービスの運用試験を行っている。今回、米国と欧州12ヶ国の2019年産の作物収量について、収量実績との比較により本サービスが提供する収量予測の精度を評価する。さらに、米国農務省(USDA)と欧州委員会共同研究センター(JRC)による収量予測との対比も示す。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本サービスの収量予測では収穫3~6ヶ月前に気温と降水量の予報値に基づいて収量予測を行う(図1)。本サービスの予測により、USDAやJRCが自国や特定地域を対象とした精緻な調査に基づく既存の予測が公表されるよりも1~6ヶ月早く収量の概況を把握できる。 2. 米国トウモロコシの場合(収穫:9~11月)のうち、USDAが2019年産の予測を最初に公表する時期は同年8月なのに対し、本サービスは同年3月には10州について予測を提供し、5月には32州すべてについて予測を提供する(図2)。予測値の誤差は3月時点・10州平均で14.4%、 8月時点・22州平均で5.9%である(表1)。 3. 欧州のコムギの場合でも、本サービスの予測はJRCの予測よりも2ヶ月早い2019年1月から欧州の主要コムギ生産国12ヶ国のうち7ヶ国について収量の概況が把握できる(図3)。予測値の誤差は1月時点・7ヶ国平均で11%である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本サービスの主な利用者は現在のところ国際機関や各国の食糧機関だが、輸入穀物を原材料として使用する民間企業が工場でのオペレーションの調整などに予測情報を活用できる可能性がある。 2. 本サービスの収量の予測精度は気温と降水量の予測精度に基づくことから、気象の予測精度が高いほど、より早い時点でより高い精度で収量の概況が把握できる。しかし、収穫までに地震など、気象と関連しない災害が発生しないことが条件となる。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/niaes/2021/niaes21_s04.html |
カテゴリ | 大豆 とうもろこし |