課題名 | 黒毛和種肥育素牛の集団飼養におけるTMRを活用した自給飼料多給型育成技術の確立 |
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研究機関名 |
岩手県農業研究センター |
研究分担 |
外山畜産 |
研究期間 | 継H16~20 |
年度 | 2004 |
摘要 | 目的:ア 県は,胚移植により乳牛から生産された黒毛和種を地域内の育成農家に預託し,その後地域内で一貫生産することを想定した肉用牛生産基盤の拡充を重点化方針としている. イ 肥育素牛の育成においては,これまで子牛市場において体重重視の取引がなされていたために,濃厚飼料を過剰に給与する傾向が強い. ウ これに対し,育成期から肥育前期にかけて濃厚飼料の給与を制限し,粗飼料多給型の給与とすることで,肥育期における飼料効率の向上や肉質の改善を図ることが知られており,本県のように豊富な草地基盤を有する地域では,自給飼料を最大限に利用した粗飼料多給型の育成技術の確立が求められる. エ 最近では,飼料用トウモロコシなど長大型飼料作物の細断型ロールベーラーを活用したラップサイレージ調製技術の検討が進められており,周年供給が可能になりつつある.これまで,サイレージを育成期の子牛に給与するのはルーメンの発達の面から好ましくないとされてきたが,乳用種ではそれを覆すような試験結果も得られている.特に,トウモロコシサイレージを給与した場合には,濃厚飼料給与量を節約することができ,飼料費も低減されたと報告されている. オ また,肥育素牛を育成する場合,いかに斉一性を保ちながら育成するかが重要な課題となる.酪農分野において普及しているTMR給与は採食時の競合や偏食の防止を図ることができ,斉一性を保つためには有用な技術と考えられるが,黒毛和種の肥育素牛の育成時にTMRを給与している事例はあまり無い.さらに,黒毛和種肥育素牛飼養時の適切な飼育密度,飼槽の長さ,群編成方法等については不明な部分が多い. カ 以上のことから,本課題では,黒毛和種を地域内一貫生産することを前提として,集団飼養管理下におけるトウモロコシサイレージ等の自給飼料を最大限に活用したTMRによる粗飼料多給型肥育素牛育成技術について検討するとともに,その後の産肉性及び経済経営効果についても明らかにする. 到達目標:(ア)3~10か月齢の肥育素牛の発育目標をDG0.8~0.9kg程度(10か月齢で270kg前後)とする. (イ)トウモロコシサイレージ混合TMRを活用して粗飼料多給した肥育素牛のその後の発育と産肉性を明らかにする. (ウ)肥育素牛の斉一性を図るための飼養密度,飼槽の長さ,群編成方法等の施設管理面での指標値を明らかにする. (エ)確立された技術の経営経済効果を明らかにする. 予定成果(初年目):・TMRへのトウモロコシサイレージの混合割合が肥育素牛の発育に及ぼす影響が明らかになる. 成果:ア 育成期から肥育前期(13~14か月齢)にかけて粗飼料多給とすることで,肥育終了時(24~26か月齢)の枝肉成績に悪影響を及ぼすことはなく,赤肉部分の増加,皮下脂肪及び筋間脂肪の減少,脂肪交雑の向上などが報告されている.これらの試験での粗飼料多給期のDGは0.75~0.95である(鹿児島畜試,1985;兵庫中央農技,1998;中国農試,1998;岐阜肉牛試,1998; 鹿児島畜試,2002). イ 乾草飽食条件下で育成期(3~9か月齢)給与する濃厚飼料の給与水準は約50gDM/kg0.75/日(DG0.9kgに要するTDNの約70%に相当)が適当であり,これ以上給与しても発育の向上は認められず,脂肪蓄積を促すだけである(新得畜試,2000). ウ 6週齢で離乳した乳用種の子牛にトウモロコシサイレージと乾草を1:1で混合して給与したところ,粗飼料として乾草のみを給与した場合に比べ,発育が良く,飼料摂取量やルーメンの発達には差が認められなかった.また,濃厚飼料の給与割合を減らすことができ,飼料費も低減された(新得畜試,1995). |
研究対象 | 肉用牛 |
戦略 | 畜産 |
専門 | 飼養管理 |
部門 | 牛 |
カテゴリ | 経営管理 飼育技術 飼料効率 飼料作物 飼料用作物 とうもろこし トウモロコシサイレージ 肉牛 乳牛 |