寒冷地における立毛間播種機利用による麦・大豆輪作栽培技術の開発

課題名 寒冷地における立毛間播種機利用による麦・大豆輪作栽培技術の開発
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 生産工学
研究期間 継H13~17
年度 2004
摘要 目的:本県の麦の作付面積は、昭和58年に4,040haであったが、その後大幅に減少し平成8年には1,197haまで低下した。その後水田での麦・大豆等の本作化の推進にともなって平成11年は1,687haまで回復してきている。しかし、作付面積の回復と反比例して単収が低下し、平成11年の小麦の単収は193kg/10aとここ5年間で最低の水準になっている。この原因として、水稲収穫期と小麦播種期の作期の競合による播種時期の遅れ、長期連作による障害、生産者の高齢化による適正な管理作業の省略化などがあげられる。一方、大豆も小麦同様作付面積の減少の著しい作目で、平成11年度の岩手県の作付面積は3,160haと10年前の半分以下になっている。また、その単収も160kg/10a程度で低迷している。このような状況にあって、岩手県においても水田・畑を有効に活用し自給率向上をめざすうえで麦・大豆の生産振興が求められており、その振興上のネックとなっている麦大豆の輪作体系技術の確立が求められている。そこで、東北北部(岩手県南及び県北地域)における立毛間播種に適応した麦・大豆の栽培技術を確立する。また、麦・大豆立毛間播種体系での機械除草と除草剤散布の組合せ等による効果的、効率的雑草防除技術を確立する。また、立毛間播種機を利用した小麦・大豆輪作体系を現地実証し、3年5作の立毛間播種栽培の定着条件を明らかにするとともに、実証にもとづいた経営経済評価をとおして、立毛間播種機の導入指針や栽培マニュアルを作成する。到達目標:ア 立毛間播種機を利用した(水稲)→大豆→小麦→大豆→小麦→大豆→(水稲)の3年5作技術体系を確立する。イ 目標収量は大豆250kg/10a以上、小麦350kg/10a以上とする。成果:(1)立毛間播種技術導入により、小麦単収は、180kg~120kg/10aから350kg/10aと飛躍的に増大し、大豆も300~250kg/10aと県平均を大きく上回る単収を得た。そして、小麦単作時に比べ、当技術で小麦・大豆の3年5作体系を導入すると、全体の農業所得が増大する試算結果を得た。この結果、花巻市の技術導入農家は開発播種機を自ら購入して水田輪作に本格的に取り組み、小麦や大豆の加工、直接販売への事業展開を目指すなど、当技術の導入は新たな経営戦略の展開に大きく寄与した。(「小麦・大豆の輪作体系を目指す立毛間播種技術の経営的効果」『平成10年度東北地域新しい技術シリーズ』東北農業試験場1999)(2)東北農業試験場より「ハイクリアランス型立毛間播種機による小麦・大豆の播種技術」(平成9年度総合農業研究成果情報)として成果が示されている。(3)東北農業試験場より「小麦・大豆立毛間播種技術体系の小麦栽培経営への適用と経営的効果」(平成10年度東北研究成果情報)として成果が示されており、現地圃場において小麦350kg/10a、大豆250~300kg/10aの単収を達成している。(4)小麦「ネバリゴシ(旧系統名東北206号)」は、早生、多収で、製めん適性が高く、短稈で耐倒伏性が強い品種として、平成12年度に本県で奨励品種に採用している。(5)大豆「鈴の音」は、早生で納豆用の小粒品種で、機械化適性にも優れることから、平成6年度に本県で奨励品種に採用している。(6)ガリル水和剤は小麦2~3葉期に使用できる土壌兼茎葉処理除草剤で、除草効果が高く、薬害も実用上問題ないことから、平成13年度雑草防除基準に採用した。(7)東北農業試験場経営管理研究室では「小麦・大豆立毛間播種技術体系の小麦栽培経営への適用と経営的効果」について現地実証農家での実績をもとに平成10年度東北農業研究成果情報として次のような結果をとりまとめている。小麦・大豆を3年5作で1.8ha作付した場合、農業所得を試算すると麦単作に比べて(i)小麦収量の増大、(ii)大豆収益の付加などにより約50万円増加する。また、現状経営規模で所得が最大となるのは小麦・大豆が3.4haまで拡大した場合で、小麦単作に比較して約150万円の増額が見込まれる。
研究対象
戦略 農業機械開発改良
専門 農業機械
部門
カテゴリ 病害虫 加工 機械化 機械開発 経営管理 小麦 栽培技術 雑草 除草 除草剤 水田 大豆 播種 品種 防除 輪作 輪作体系

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