課題名 | 乳酸菌を用いた機能性食品の開発 |
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研究機関名 |
秋田県総合食品研究所 |
研究分担 |
生物機能 |
研究期間 | 完H14~16 |
年度 | 2004 |
摘要 | 目的:乳酸菌の持つ健康イメージを健康志向の消費者にアピールすることで県内食品産業の活性化を目的とした。乳酸菌の機能性に注目した積極的な利用を促進し、高付加価値商品の開発を目指した。乳酸菌由来の機能性に密接な関係がある糖質関連酵素やタンパク質分解酵素に注目し、それら酵素類に特徴のある乳酸菌の分離を行った。具体的には、乳酸菌のつくる抗菌物質バクテリオシンに注目し、バクテリオシンを活用した食品の保存技術「バイオプリザベーション」への応用と実用化を目指した。分離した乳酸菌を利用し、県産の米や大豆を主原料とする食品、味噌や醤油などに機能性を付与した高付加価値商品の開発を目指した。 成果:白神山地の土壌より3468点を採取し、3083株の酸生産菌を分離し、-80℃にて保存した。また、市販食品30点より110株の酸生産菌を分離し保存した。白神土壌由来抗菌物質生産菌として分離された1527D株の解析を行ったところ、ナイシンZ生産菌Lactococcus lactis subsp. lactis KLC 1527D株として(独)産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託し(受託番号 FERM P-19608)、特許出願を行った。その他、従来のナイシン生産菌と比較して15℃以上で良好な生育を示す、抗菌活性が2倍以上高い、生育速度が速い、食塩濃度5%またはアルコール濃度7.5%の環境でも生育する、GABA生成能が優れている等の特徴が明らかとなった。これらの特性を活用することで、ナイシンによる日持ち向上と同時に、GABAによる機能性を付与した食品の開発が可能となる。乳酸菌のつくる抗菌物質バクテリオシンに注目し、バクテリオシンを活用した食品の保存技術「バイオプリザベーション」への応用と実用化を目指した。その結果、漬物など県産農産物の加工に適し、化学的に合成された保存料などを使用せずに食品の長期保存を実現し、首都圏などへの出荷を可能とする技術を開発し、特許化した(特許2)。この技術は国内では先駆けとなる技術であり、全国紙など多数で報道されたため、全国の漬物業者や調味料加工業者などから非常に多くの問い合わせを受けた。この特許技術に白神土壌より分離したKLC 1527D株を適用し、なた漬けをはじめとする野菜漬物やハタハタずしに代表される水産加工品などに応用し実用化した。現在県内のスーパーや通信販売ギフト商品として全国流通を実現している(図2)。また、末端の製造業者でも扱いやすい中間製品の開発が行われ、「乳酸発酵甘酒」として販売された。これを従来のサゴハチ漬けや麹漬けに使用することで、酸味の増大を抑制することが可能となり、従来の消費期間3日を7日以上に延長した商品も現れた。KLC 1527D株の名称を公募した結果、白神の乳酸菌「作々楽(ささら)」と命名された。作々楽をはじめとする、今後新たに発見される白神由来微生物の技術移転及び普及の迅速化を目的に、「白神バイオ利用促進協議会」が2004年6月30日に発足した。この協議会活動により、研究所との間に必要な様々な事務手続きが簡略化され、さらにロイヤリティなどの一本化が可能となる。今後は研究所が開発した製造手法などを協議会に対して普及し、協議会活動の中で様々な商品が開発されていくと考えられる。 |
専門 | 食品加工流通 |
部門 | 共通 |
カテゴリ | 加工 機能性 高付加価値 出荷調整 機能性食品 大豆 |