課題名 |
免疫賦活化物質の給与による採卵鶏及びブロイラーの自然免疫機能の向上 |
研究機関名 |
京都府畜産技術センター
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研究分担 |
経営・指導部
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研究期間 |
新H17~19 |
年度 |
2004 |
摘要 |
1.背景・目的:鶏卵又は鶏肉を原因とする食中毒は、それぞれの生産農場における鶏のサルモネラ又はカンピロバクターなど危害因子への感染が発端であるとされている。しかし、採卵中の採卵鶏には抗菌性薬剤の投与が禁止されており、感染防止を投薬に求めることはできない。一方、ブロイラー飼育にあっては、抗菌性飼料添加剤による薬剤耐性菌出現リスクが指摘されている。また、高病原性鳥インフルエンザのように、予防措置としてはワクチン接種が実施できない感染性疾病への対応も課題となっている。このように、現在、養鶏が「食の安全・安心」に関し直面している課題は、いずれも投薬等に頼ることなく如何に危害因子の感染から鶏を守るかという課題につながり、鶏と危害因子の接触遮断及び万一接触した場合の感染・発症リスクの低下技術の確立が求められる。当センターでは、平成14年度からヒトの免疫機能活性の向上に効果が認められている機能性食品等の鶏への応用について、鶏の自然免疫系の機能評価法と合わせて研究を行ってきた結果、いくつかの機能性食品等が鶏にも有効であることを確認した。そこで、それらの免疫賦活化物質について、感染性疾病の感染・発症リスク低減を図るための効果的な給与技術を確立し、抗菌性薬剤の投与に頼らずに、鶏卵のサルモネラ汚染、鶏肉のカンピロバクター汚染、ブロイラー飼育における薬剤耐性菌出現リスクなど養鶏に因む「食の安全・安心」に対する危害要因の抑止に資する。2.既往の関連成果(1)精製パン酵母を採卵鶏に2週間飲水投与したところ、血漿中のマクロファージ活性(貪食能・走化性)の向上が認められた。(平成15年度京都府畜産技術センター試験成績)(2)人の免疫機能を高める働きのある機能性成分サポニンの一種を鶏に飲水給与したところ、血漿中のマクロファージ活性の向上が認められた。(平成14年度同センター試験成績)(3)ブロイラーに生菌剤を投与して無薬剤飼育試験を実施したところ、慣行区に比べて飼料効率が劣った。羊赤血球及びブルセラ死菌に対する凝集抗体価による免疫機能評価では、生菌剤の添加の有無による差は認められなかった。(平成13年度同センター試験成績)3.期待される成果(1)鶏の免疫機能が活性化することにより、感染性疾病への感染・発症リスクの低減効果が期待できる。特に抗菌性薬剤投与ができない採卵鶏の疾病防止や、高病原性インフルエンザ等現状ではワクチン接種で対応できない感染性疾病対策への応用が期待できる。(2)薬剤耐性菌の出現が問題となる中で、無投薬あるいは投薬をできるだけ抑えた鶏肉生産技術への応用が期待できる。(3)養鶏における食中毒危害因子感染リスク低減効果による安心安全な鶏卵・鶏肉の生産技術への応用が期待できる。(4)鶏自身の免疫機能が活性化することで、農場の衛生環境の改善が期待できる。また、生産物の高付加価値化による経営の安定が期待できる。
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研究対象 |
鶏
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戦略 |
畜産
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専門 |
飼養管理
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部門 |
鶏
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カテゴリ |
機能性成分
経営管理
高付加価値
飼育技術
飼料効率
生菌剤
機能性食品
耐性菌
鶏
羊
評価法
薬剤
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