課題名 | 本県オリジナル品種・新品種・一般品種の生育及び栽培特性調査 |
---|---|
研究機関名 |
福島県農業総合センター |
研究分担 |
果樹研究所 |
研究期間 | 新H18~22 |
年度 | 2006 |
摘要 | 目的:本県オリジナル品種及び新品種の生育・栽培特性を把握し、栽培マニュアル作成に活かすとともに、高品質高生産のための栽培技術開発の基礎資料とする。一般品種については、生育状況を把握し、リアルタイムの生育情報を生産現場に提供する。結果:(1)本県オリジナル品種の特性調査:(i)「ふくあかね」原木の果実生育特性を検討した。2006年の「ふくあかね」原木の果実肥大経過は、満開後70日頃の硬核期終期から7日後頃より横径/側径比の推移の変曲点が見られ、更に約3週間後に着色を開始し、収穫盛りは着色開始から約3週間後(18日後)であり、収穫始めは着色開始から10日~14日後頃と推定された。(ii)「緋のあづま」の満開期は「つがる」「ふじ」に比較し2日遅かった。収穫期は原木で10月上中旬、実生台で10月上旬、JM7台は9月下旬でより9日早かった。本年度の果実の平均糖度は14%前後で平年より不良であった。生育期のつる割れは結果枝長4cm以下で発生が見られた。果面色が一番退色した時期は昨年同様満開後110日前後であった。果形の変位点はJM7台で満開後86日前後、実生台で100日前後であった。本年度のカラーチャート値および果形指数の変位点から収穫盛までの日数は、JM7台ではそれぞれ32日、56日、実生台ではそれぞれ41日、51日となった。(iii)「緋のあづま」の成り枝の切返しは、枝の長さに対して先端から25%前後にある充実した腋芽で処理することが、腋芽の発芽および翌年の結実に良好な中果枝の発生を促すのに有効であると考えられた。(iv)「あづまのしずく」の生育は発芽は平年より3日遅れ、満開、収穫盛期は7日遅れであった。果実品質は果粒重、糖度は平年より良好であったが、平年より酸が高かったため糖酸比は平年より低かった。着色は過去3ヵ年では最も良かった。また、短梢剪定栽培におけるジベレリン処理時期について検討した結果、満開後5日~7日処理が着粒数と果粒肥大が安定しており、ジベレリン処理適期と判定された。(v)「ふくしずく(ブドウ福島3号)」のジベレリン処理方法について検討した結果、満開期ジベレリン100ppm処理で果粒肥大、糖酸比ともにもっとも良好で、裂果は最も少なかった。今後、ジベレリン100ppmでの処理時期を変えた検討が必要と考えられた。また、1支梗利用と2支梗利用整形法の利用する支梗の順位と支梗長の伸長との関係及び果実品質について検討した。果実品質は粒重と糖度で2支梗利用方式が1支梗利用方式より良好であった。2支梗利用の花穂整形時(7葉期)の支梗長は1.6cmであり、2支梗利用方式では第5支梗~第10支梗の隣接する2支梗を利用することで適正な果房が得られるものと推察された。(2)新品種の特性調査:(i)モモ新品種「ふくあかね」は、「あかつき」に比べ収穫期が1週間程度遅く、果実肥大は初期が小さく、満開後80日以降急激に肥大し、収穫期にほぼ同程度となった。糖度高く、着色良好だが、収穫初期は酸味やや多く、後半はミツ症がやや見られた。また、着果部位では極短果枝と短果枝で優れた。リンゴ「緋のあづま」のBA処理による有意な副梢発生促進効果は認められなかった。M.9ナガノ台「ふじ」のBA処理による副梢発生促進効果は高かった。(ii)リンゴ、モモ、ナシ、ブドウの新品種の特性を調査した。リンゴでは「緋のあづま」の品質は供試樹の樹勢衰弱の影響から果汁が少なく、裂果の発生も多かった。モモでは「なつき」は「暁星」より果実品質が劣った。「黄貴妃」は有袋栽培で優れた品質を示した。ニホンナシでは「秀玉」「王秋」の果実品質調査、官能検査で良好であった。セイヨウナシでは「オーロラ」「バラード」が食味良好であった。ブドウでは「安芸クイーン」「あづましずく」「ハニービーナス」は有望であった。オウトウでは「紅秀峰」が収穫時期及び果実品質から有望な品種と判断された。(iii)リンゴ、モモ、ナシ、ブドウの一般品種の特性を調査した。リンゴでは全般的に果実は小玉で、硬度が高い傾向があった。「つがる」は着色不良であった。「ふじ」は果実品質良好で、裂果の発生は少なかった。モモでは収穫期は平年並み~やや遅く、果実はやや大きかった。また、早生種は甘味少ないが、中生種以降は食味優れた。ニホンナシでは平年に比べ収穫期が早めで、一果重は中生種で大きく、晩生種で小さめで、RM示度は晩生種で低かった。セイヨウナシでは平年に比べ地色指数が高い状態でデンプン指数が低下し、収穫期の判断を難しくした。ブドウでは収穫盛期は平年並み~5日早く、「巨峰」では単為結果率が高かった。オウトウでは収穫期は1~2日遅れ、果実の大きく、糖度はやや低かった。「佐藤錦」では裂果の発生が多かった。また、「佐藤錦」の硬核期開始から15日後に硬核期終了、33日後に収穫開始、35日後に収穫盛りとなることがわかった。 |
カテゴリ | おうとう カラー 栽培技術 新品種 単為結果 ばら 品種 ぶどう もも 良食味 りんご |