課題名 | g.自給飼料の高度利用による高泌乳牛の精密飼養管理技術と泌乳持続性向上技術の開発 |
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課題番号 | 2008010585 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,自給飼料酪農研究チーム |
協力分担関係 |
酪農学園大学 産業技術総合研究所 北海道大学 家畜改良センター 出光興産KK |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2008 |
摘要 | 1)高泌乳牛の第一胃における揮発性短鎖脂肪酸(VFA)の吸収機序解明に向け、第一胃絨毛上皮細胞において、Na/モノカルボン酸共輸送体遺伝子(SMCT1)発現量の高い腹嚢部でSMCT1たんぱく質が局在していること、および第一胃内発酵が未熟な仔うしの腹嚢部ではSMCT1発現量が低値であったことから、SMCT1が第一胃絨毛からのVFA輸送に関与していることを明らかにした。また、内分泌機能を含む体内生理状態が異なる泌乳期(初期・中期・後期)においては、第一胃上皮細胞のSMCT1発現量に有意差がないことを認め、第一胃内発酵様態を変えることでVFA輸送を制御できる可能性を明らかにした。2)周産期疾患の大きな要因のひとつである分娩前後の飼料摂取量減退によるエネルギーアンバランスを抑制する乾乳期管理として、乾乳期間を30日に短縮した2産次目の妊娠牛では、慣行乾乳期(60日)に比べて泌乳前期の乳量が有意に少なく、305日乳量も減少することを明らかにした。一方、3産次以上の妊娠牛での乾乳期短縮(30日)では、慣行乾乳期に較べて泌乳最盛期の乳量はやや低い傾向となるが、分娩後10週以後では差が認められなかった。3)高泌乳牛で最適な分娩間隔を保つためには、分娩後の繁殖機能の回復程度を示す指標が求められることから、分娩の1週間前後の血液中酸化ストレスマーカー(チオバルビツール反応物、TBARS)濃度、および周産期の血液中グルタチオンペルオキシダーゼやグルタチオンリダクターゼ(GR)の酵素活性が、早期に排卵を開始する牛では低いことを見出し、本指標として利用できることを明らかにした。また、乾乳期のグラスサイレージ主体飼養では、とうもろこしサイレージ主体飼養時に較べて、GR活性、TBARS濃度が低いことを確認した。4)泌乳持続性を向上させるために、乳腺の活性制御に関与する要因摘出を進め、泌乳期のウシ乳腺組織では、乾乳期に比べて血管新生促進因子である血管内皮増殖因子(VEGF)mRNAの発現が顕著に増大しており、VEGFが血管新生に伴う血流持続作用により泌乳に関与しているものと推定された。5)泌乳持続性に優れた乳牛の効率的な選抜法について検討し、305日乳量と泌乳持続性(60日と240日の推定乳量差)の両形質を組み合わせた複数産次にわたる選抜効果については、経産牛記録が出始めてから2年目の選抜が両形質の年当たりの改良量を最も大きくすることを明らかにした。 |
カテゴリ | 飼育技術 とうもろこし 乳牛 繁殖性改善 輸送 |