課題名 | b.病害虫の侵入・定着・まん延を阻止するための高精度検出・同定法の開発 |
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課題番号 | 2008010701 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,病害虫検出同定法研究チーム |
協力分担関係 |
青森県農林総合研究センター (財)微生物応用技術研究所 大阪大学蛋白質研究所 理化学研究所 スウェーデンカロリンスカ研究所 宮崎県・農政水産部 アリガームスリム大学 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2008 |
摘要 | 侵入・拡大リスクの高い植物病原細菌の検出技術を開発するため、1)既存のリンゴ・ナシ火傷病菌用選択培地3種類について、我が国のりんごおよびなしの花器から分離した表生菌256菌株に対する生育抑制効果を調査し改良した。直接PCR検定法は、火傷病類似症状発見時の迅速な検定法として広く利用可能なことを示した。また、米国において、火傷病に関する最新の検出・同定法、生態、発生予察法、防除法に関する情報を収集するとともに、得られた情報については、農研機構が平成20年12月に発行した「火傷病侵入警戒調査の手引き」に盛り込むことなどにより周知に努めた。2)トウモロコシ萎凋細菌病菌に発光遺伝子を導入し、とうもろこしにおける挙動を解明するとともに、我が国のとうもろこしから135菌株の細菌を分離し、既存の選択培地の生育抑制効果を調査し改良が必要なことを示した。 維管束局在性原核微生物による新発生病害の検出技術を開発するため、1)イチゴ葉縁退緑病の新たな病原BLO(バクテリア様微生物)のDNAを標的として、リアルタイムPCRおよびLAMP法による高精度検出法を開発した。 土壌微生物群集構造に基づく植物病原体の定着・まん延抑止レベル評価技術を開発するため、1)青枯細菌病菌において、増殖不能細胞の一部は、増殖可能細胞に回復することを示した。2)各地から分離したダイズ黒根腐病菌の遺伝子分化を解析し、地域間で遺伝的多様度が非常に高いことを明らかにした。また、汚染土壌から黒根腐病菌を検出する方法を開発するとともに、黒根腐病菌の産生毒素を同定し、その生産性を指標とした菌の病原力評価を可能にした。 ウイルスの高精度抗原・抗体および系統識別技術を開発するため、1)トウガラシマイルドモットルウイルスの弱毒株で見出したアミノ酸変異部位に20種類のアミノ酸を一つずつ導入して調べた結果、荷電アミノ酸を導入した株では病原性が見られず、また脂肪族アミノ酸を導入した株では必ず病原性が認められることなどを明らかにした。2)イネラギッドスタントウイルスの構造をクライオ電顕を用いて解析し、粒子の内殻構造は、内殻、クランプ、タレットおよび3量体構造から構成されていること、およびそれらの粒子内での配置を明らかにした。 線虫の検定技術、分類・同定・モニタリング技術を開発するため、1)コロンビアネコブセンチュウは、日本の馬鈴しょ3品種「洞爺」、「花標津」、「十勝黄金」において根の腐敗を促進し、「男爵」、「十勝黄金」、「さやか」において増殖率が高い傾向を認めた。また、低温域(20℃)における病原性は「男爵」で低いことを明らかにした。2)昆虫病原性線虫Steinernema litoraleは、10%グリセリン溶液に浸漬して1日後に液体窒素で急速凍結することによって長期保存できることを明らかにした。レンコンネモグリセンチュウなど5種の線虫の塩基配列を解読するとともに、2属3種のインド産昆虫病原性線虫を同定した。3)北海道から静岡までの各地より収集したダイズシストセンチュウ10個体群の寄生性を調査し、抵抗性品種栽培地域の個体群で寄生性が高い傾向を明らかにした。また、北海道の農家ほ場において線虫調査を行い、34ほ場中24ほ場から本線虫を検出した。 |
カテゴリ | いちご 害虫 黒根腐病 大豆 抵抗性品種 とうがらし とうもろこし 評価法 品種 防除 モニタリング りんご れんこん |