課題名 | r.草地飼料作における減肥・減農薬の環境対策技術の検証と新たな要素技術の開発 |
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課題番号 | 2009013886 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,飼料作環境研究チーム |
協力分担関係 |
長野県中信農業試験場 三重県科学技術振興センター |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | 1)酪農場におけるほ場から牛舎までのNPK3元素の生産・利用の実態を調査し、農場の元素利用効率の向上においての今後改善すべき部門(例えば堆肥化における窒素揮散、圃場におけるリンの損失など)を明らかにした。アルファルファ導入によってCP(粗たんぱく質)自給率が導入前の26%から約39%に向上することを示し、窒素含量が高いアルファルファ生産がCP自給率向上、ひいては購入飼料による窒素持ち込みを減らすことに有効であることを実証した。2)共生糸状菌に関して、Neotyphodium occultans感染イタリアンライグラス中では、生育が進むにつれてN-フォルミルロリン濃度が上昇すること、感染イタリアンライグラス上におけるカメムシ類の生息個体数は非感染植物と比較して少ないこと、感染牧草に蓄積されるはN-フォルミルロリンは50ppm以上の濃度でアカスジカスミカメとホソハリカメムシの生存率を低下させることを明らかにした。ペラミンは50ppm以下の濃度でアカスジカスミカメ及びホソハリカメムシの生存に影響しないことを示した。3)家畜排せつ物に由来する抗生物質について、タイロシンを含んだ堆肥及び土壌(黒ボク土)中のタイロシン動態を検討し、初期濃度が83?g/kg乾物のタイロシンを含む堆肥では、30日後に10?g/kg乾物、60日後に6?g/kg乾物に減少した。一方、初期濃度が1,000?g/kg乾物の土壌のタイロシン濃度は、30日後に140?g/kg乾物、60日後には79?g/kg乾物に減少した。減衰の定数(消失速度定数)及び半減期は、堆肥、土壌ともに8day-1程度、5-6日程度と推定された。4)堆肥・飼料中のクロピラリドを精度良く定量でき、詳細な動態解析に利用できるLC/MS/MSによる分析方法を確立した。5)窒素吸収量が多く、飼料利用の弊害となる硝酸態窒素の蓄積が少ない作物の探索と利用条件解明のため、豚ふん堆肥を多量施用(肥効率から年間23~26 kgN/10a相当量)して大豆根粒非着生系統(En1282)を栽培したところ、種子中の窒素吸収量が27 kgN/10aと大きいこと、また、牛ふん堆肥多施用(肥効率から年間48 kgN/10a相当量)条件下でさとうきび等を栽培し、ネピアグラスで窒素蓄積量が大きく、さとうきびでは植物体中に硝酸態窒素を蓄積しないことを明らかにした。6)共生糸状菌の同定法について、おおむね完成した菌そのもののDNAによる検出・同定法を補完する技術として、葉緑体DNA上のPCRマーカーを用いた共生糸状菌感染植物の相互比較を試み、進化史上における各共生糸状菌の菌種と植物との共生開始時期が推定でき、系統分類上のどの植物群に特定の共生糸状菌が分布しうるか予測できることを示した。 |
カテゴリ | 病害虫 アカスジカスミカメ アルファルファ イタリアンライグラス カメムシ 環境対策 さとうきび 大豆 乳牛 農薬 豚 |