課題名 |
s.家畜生産における悪臭・水質汚濁等の環境対策技術の総合的検証と新たな要素技術の開発 |
課題番号 |
2009013887 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構
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研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,浄化システム研究チーム
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研究期間 |
2006-2010 |
年度 |
2009 |
摘要 |
1)家畜生産に伴う悪臭の影響を除去するため、吸引通気式堆肥化施設由来アンモニアの捕集・回収技術の高度化を行った。前年度までに開発した装置にpHセンサと薬原液流入ポンプを設置し、薬液の濃度調整を自動化できた。また、薬液の加温に水和熱と中和熱を有効利用することにより薬液加温ヒータの起動時間を短縮し、アンモニア回収の消費電力が23.3kWhと改良前より約61%削減できた。2)悪臭対策技術を現場に適用する際の効果検証手法構築の一環として、畜産施設(自然換気畜舎)から発生する揮散ガス原単位の高精度計測に必要となる換気量の計測法を検討した。この検討では、精度の高い減衰法を基準とし、現場で実施可能である定常発生法について風洞模型実験を行った。その結果、測定位置を畜舎の半分の空間に分布させた場合、換気量は基準値の約5倍、発生点近傍の場合、約40%小さく評価された。このことから、現場測定の精度をあげるためにはさらに発生位置や測定位置等の検討を重ねる必要があることが示された。3)家畜生産に伴う悪臭の影響を除去する目的で、アンモニア資化能の高いBacillus属細菌を資材化し、家畜ふんに添加する手法を検討した。この結果、堆肥化開始時に添加後の混合物中の菌数が107CFU/gDM程度となるように添加すること、また使用前日に資材に等重量程度の水を添加することが有効であった。4)環境対策技術の総合的な検証のための基盤的な情報を得ることを目的とし、家畜生産におけるアンモニア揮散量のインベントリデータの収集を行い、畜舎、ふん尿処理、散布時におけるアンモニア発生係数を、畜種、ふん尿処理方法別に策定した。5)微生物を利用した脱臭装置の改良を目指し、脱臭槽内ロックウール担体上の微生物について、分子生物学的な群集解析を行った。その結果、槽内でのアンモニア酸化活性は、アンモニア酸化古細菌群集と比べアンモニア酸化細菌(AOB)群集との関連性が高く、流入するアンモニア濃度の変化により脱臭装置内の各部位で基質親和性の異なるAOB群集が形成されると推定された。6)硫黄含有粒剤等による畜舎汚水の脱窒・リン低減技術の開発については、硫黄と炭酸カルシウムをパーライト表面にコーティングした資材による脱窒技術について実証試験まで終えて実用化の基盤ができた。しかし、経済情勢の急変により資材の価格面で普及への障害が生じたことから、同様の性状で低単価の資材を改めて探索することが必要である。7)水質汚濁等の負の影響を除去する技術の1つとして、酪農雑排水処理を目的とした硬質パーライト充填連続通気リアクターの性能検討を行った。この結果、有機物・リンの除去性能に加えて、窒素除去性能も良好であることが確認され、連続通気条件下でも硝化に加えて脱窒が同時進行している可能性が示唆された。8)新たな微生物プロセスを用いた脱臭廃液の脱窒技術の開発については、高濃度の窒素を除去する脱臭反応装置に用いる種微生物源の候補としての鶏ふん処理施設サンプルについて、脱臭の第一段階の反応を担うアンモニア酸化細菌、及び窒素除去に関わる脱窒細菌とアナモックス細菌についてその存在傾向を調べた。この結果、脱窒細菌は生鶏ふん、貯留槽鶏ふん、乾燥鶏ふんのいずれにも安定して存在するが、アンモニア酸化細菌の存在は変動があり、貯留槽に多いことが示唆された。また、アナモックス菌はいずれにも存在しないと予測された。9)豚ぷんの堆肥化過程において、亜硝酸酸化細菌添加による亜酸化窒素の揮散抑制をより効果的に行うことを目的とし、亜硝酸酸化細菌の適正添加時期について検討した。この結果、高温状態が長時間持続する時期の添加では亜硝酸酸化細菌は生存できないことから高温期が過ぎた時期の添加が適当と推測された。ただし、高温期でも添加量の増加により生残できる可能性も示唆された。10)新規窒素除去反応であるアナモックス反応を利用した養豚廃水用窒素除去リアクターの立ち上げ時の接種源の探索を目的とし、養豚廃水処理施設内のアナモックス菌存在傾向を解析した。その結果、pH 6.6~8.1のサンプルに高い確率でアナモックス活性が検出された。また、アナモックス菌が存在するサンプルでは存在しないサンプルに比べて硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度の和が高い傾向が見られた。
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カテゴリ |
アナモックス菌
環境対策
乾燥
鶏
乳牛
豚
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