c.イネゲノム解析に基づく収量形成生理の解明と育種素材の開発

課題名 c.イネゲノム解析に基づく収量形成生理の解明と育種素材の開発
課題番号 2009013896
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,作物研,稲収量性研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,稲収量性研究北陸サブチーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,稲収量性研究近中四サブチーム
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 1)多収栽培技術の開発については、インド型品種では1,000kg/10a以上を記録し、つくば市と福山市では20年度に続き、平年収量の80%増である目標収量(930kg/10a)を達成した。また、シンク容量の増加に伴う登熟歩合の品種間差異には登熟前半の穂重増加と転流が関与する可能性を示すなど、品種に対応した栽培モデル構築に有用な知見を得た。さらに、地下水位制御システムを利用した地下水位制御は、間断かんがいに比べ中干し以降40%程度節水できることを明らかにした。2)稲収量性の向上を目指して、マップベースドクローニングにより一次枝梗数、穂首維管束数を決める原因遺伝子がAPO1であることを特定した。この遺伝子のハバタキ(インド型品種)型は、ササニシキ(日本型品種)型に比べて、一次枝梗数、穂首維管束数及び一穂籾数を増加させ、収穫指数(籾乾物重/全乾物重)と収量を向上させる。この遺伝子は穂首維管束周辺で発現していることから、維管束系の発達を促進して転流を増加させることにより、収量及び収穫指数を高めていると推察した。また、ソース能に関してはササニシキ型に対してハバタキ型でSPAD値と光合成速度を高める第4染色体のQTLの候補領域を355kbまで狭めた。また、葉中にでん粉を過剰蓄積する系統の1つは原品種に比べて、一穂重が少なく、転流が抑制されることを明らかにした。3)高温障害発生機構として高温登熟条件下では穎果中のスクロース、GABAなどのアミノ酸の増加、ヘキソース、糖リン酸及び有機酸の減少などの代謝産物の変化があること、内生ABAが低下することを示した。また、高温と同様に乳白粒を生じる低日射条件では内生ABAは低下しないこと、代謝産物動態は高温下と異なることなどの相違を明らかにした。さらに、粒重や粒密度が玄米の吸水特性を介して胴割れ発生程度に関与している可能性があった。4)高温耐性育種素材開発のためにハバタキ・ササニシキの染色体断片置換系統を評価し、第3染色体にハバタキ型で登熟時高温下での白未熟粒の増加を抑制する領域を見出した。また、深水処理しても土壌の酸化還元電位の大きな低下は見られず、収穫作業に必要な地耐力が確保されることから、高温対策技術としての深水処理の実用性を示した。さらに、 コシヒカリでは、同じ穂内でも開花時刻の遅い籾ほどより高温にさらされ不稔が発生していたことから、早朝開花性を導入することにより高温不稔回避の可能性が示唆された。5)脂質代謝酵素遺伝子の機能解明については、リン脂質代謝酵素遺伝子OsPLD2、OsIP5P1及び細胞内シグナル伝達関連遺伝子OsHP1のそれぞれの抑制系統で、高温処理による米の品質低下が大幅に減少することを明らかにした。
カテゴリ 育種 高温対策 高温耐性 多収栽培技術 品種

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