| 課題名 | m.栄養素による遺伝子発現調節機能の解明 |
|---|---|
| 課題番号 | 2009013906 |
| 研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
| 研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,分子栄養研究チーム |
| 協力分担関係 |
北海道大学大学院農学研究科 三重大学 |
| 研究期間 | 2006-2010 |
| 年度 | 2009 |
| 摘要 | 1)アミノ酸による筋肉のたんぱく質代謝の調節機能を明らかにするために、必須アミノ酸ロイシンによるたんぱく質分解抑制機構を、鶏胚由来の骨格筋細胞を供して検討した。ロイシンはたんぱく質分解に関与する遺伝子アトロジン-1のmRNA発現を抑制し、非必須アミノ酸の1つグルタミンが同時に存在すると、その作用はアミノ酸トランスポーターを介することを明らかにした。一方、ロイシンが単独でアトロジン-1 mRNA発現を抑制する際には、アミノ酸トランスポーターは関与していないことを明らかにした。2)豚の筋肉における脂肪蓄積の調節機構を明らかにするために、必須アミノ酸リジン濃度が低い飼料(低リジン飼料)の給与が前駆脂肪細胞に多く発現していることから、前駆脂肪細胞のマーカータンパク質として認められているPref-1(preadipocyte factor-1)のmRNAの発現量に及ぼす影響を検討した。その結果、肥育期に低リジン飼料を給与しても、胸最長筋におけるPref-1のmRNA発現量は影響を受けないことを明らかにした。この結果は、肥育期に低リジン飼料を給与することで促進される筋肉内脂肪蓄積は、脂肪細胞数の増加ではなく、脂肪細胞の肥大が主因であることを示唆している。そこで、低リジン飼料給与による筋肉内脂肪含量増加効果を確認するための実証試験に着手した。3)牛の脂肪や筋肉組織において発現する遺伝子に対するビタミンの効果を解明するために、13~20ヶ月齢までビタミンAの給与を制限した黒毛和種去勢牛の胸最長筋における遺伝子発現の変化を網羅的に解析した。その結果、ビタミンAを制限すると発現が低くなる遺伝子を5、高くなる遺伝子を13確認した。発現が高くなる遺伝子の中に、筋肉内脂肪の主要画分であるトリアシルグリセライド合成酵素であるジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼが含まれていることを明らかにした。4)細胞間接着物質切断機能を有する酵素MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の活性を牛の胎盤で上昇させ、分娩後の胎盤剥離を誘導する物質の有効性を検討した。アラキドン酸を50mg臍帯に注入することで、胎盤の全排出あるいは部分排出ができることを明らかにした。その際、牛の体内でアラキドン酸から変換されたと考えられる胎盤剥離シグナルを血中に観察した。5)遺伝子解析により消化管微生物機能を解明するために、粗飼料の分解能力が高いルーメン内の細菌集団(植物繊維分解コンソーシアム)における発現遺伝子を解析し、現段階で発現遺伝子プロファイルが明らかになっている唯一の環境中細菌である海洋細菌と比較した。植物繊維分解コンソーシアムでは、エネルギー代謝とDNA代謝に関わる遺伝子の発現割合が高いこと、代謝産物の合成に関わる遺伝子の中では、メタン生成の基質となるギ酸の生成に関わるものが1.4%と最も多いことを明らかにした。ギ酸そのものは中間代謝産物であり、速やかに代謝されるため、ルーメン内でのギ酸生成量を定量的に把握することは困難であったが、これまで報告されていなかったルーメン内における活発なギ酸生成の存在を示した。6)サポニンの含量が高くルーメンからのメタン発生の低減化が期待できるムクロジ科植物のルーメン微生物生態系への作用を解明するために、ムクロジ科植物(Sapindus rarak)の果実からメタノール抽出物を得て、0~0.1%の濃度となるようにルーメン細菌用嫌気性培地を調製した。混合ルーメン細菌をこれらの培地で培養したところ、0.1%濃度の培地で培養した混合ルーメン細菌のメタン産生量は、0%培地に比較して23%低く、プロピオン酸濃度が上昇し、プロトゾアが消失していた。以上のことから、Sapindus rarak果実抽出物によるメタン産生量低下には、プロピオン酸産生経路の増強やプロトゾア数の減少が関与していることを示すことができた。7)ルーメンからのメタン発生の低減化に効果があると期待されているカシューナッツ殻油のルーメン微生物生態系への作用を解明するために、カシューナッツ殻油(4g/100kg体重)を添加した飼料をホルスタイン種乾乳牛に給与した。その結果、ルーメンにおけるメタン産生量が大幅に低下すること、ルーメン内の酢酸濃度は低下しプロピオン酸濃度が高くなる一方で飼料の消化性は低くなること、この時のルーメン細菌相はコハク酸及びプロピオン酸を主要な代謝経路とするSuccinivibrio dextrinosolvens及びPrevotella属細菌を優勢とする菌相構造へと大幅に変化することを明らかにした。 |
| カテゴリ | 鶏 ナッツ 乳牛 豚 |