課題名 | イチゴ炭疽病潜在感染と薬剤耐性菌の迅速同時診断技術の開発 |
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研究機関名 |
奈良県農業総合センター |
研究分担 |
病害防除 |
研究期間 | 完(H18)~(H20) |
年度 | 2008 |
摘要 | イチゴ炭疽病菌の検出と薬剤耐性遺伝子診断を同時に行う迅速診断技術を開発することが目的。1.イチゴ炭疽病潜在感染と薬剤耐性菌の迅速同時診断技術の開発 1)潜在感染源の網羅的探索と高頻度感染部位の特定 (1)センター内隔離圃場において、炭疽病菌を人工接種した雑草における低温期の感染率を調査する。9月にイヌビユに接種した炭疽病菌は、1月下旬の枯死株からも分離されることから、雑草で越冬する可能性が示唆された。(2)イチゴ感染株に対するジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤の効果的な浸漬処理時間および温度を明らかにする。潜在感染株の防除に有効なジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤の効果は、高温多湿条件では著しく低下するが、低温期の処理により育苗圃の発病遅延や本圃の枯死株発生防止に有効であることが明らかになった。 2)イチゴ炭疽病菌特異的DNAマーカーによる検出技術の確立 PCR検出における前培養条件を確立するため、培養温度、培地の種類および培地量を比較検討し、これら結果から潜在感染株からのPCR検出プロトコルを作成する。イチゴに潜在感染した炭疽病菌は、PS液体培地0.3mlで28℃、48時間培養することで効率的に増菌することができ、この前培養はPCR検出精度の向上に有効であった。開発したPCR検出技術は、イチゴ外葉の葉柄基部を前培養し、磁性ビーズ吸着法によりDNA抽出を行い、その抽出液を鋳型にしてnested-PCRを行う。本法は、選択培地を用いた培養法およびエタノール簡易浸漬法よりも検出精度が高く、サンプリングから約3日間で判定が可能であった。 3)マルチプレックスPCR法等による炭疽病菌の迅速検出と薬剤耐性同時診断技術の開発 ベノミル耐性菌とイチゴ炭疽病菌特異的プライマーを用いたマルチプレックスPCR-RFLPを行い、両遺伝子の増幅と制限酵素処理の切断部位を確認する。マルチプレックスPCRにおいて、ベノミル耐性菌と炭疽病菌の増幅産物の塩基数は、200bp以上の違いがあるため、電気泳動おいて同じアガロースゲル上で同時に検出することが可能であった。このとき、アニーリング温度は55℃が適していた。しかし、RFLPにおいて制限酵素HgaIを処理した場合に、ベノミル耐性菌増幅産物だけでなく、炭疽病菌の増幅産物も切断されるため、炭疽病菌プライマーの再設計が必要であった。 4)イチゴ苗生産における迅速同時診断技術の実証 県内の原親苗増殖圃場7ヶ所の親苗を対象に、PCR検定および発病調査を実施する。県内イチゴ原親苗増殖圃場において、5~6月にかけてPCR検定を実施したところ、339株中27株が陽性であった。陽性株除去後の発病調査では、昨年度の発生圃場においても栽培終了時まで発病は確認されず、本検出技術の実用性が確認された。 |
カテゴリ | 病害虫 育苗 いちご 雑草 診断技術 耐性菌 炭疽病 DNAマーカー 防除 薬剤 薬剤耐性 |