e.作物の低温耐性等を高める代謝物質の機能解明とDNAマーカーを利用した育種素材の開発

課題名 e.作物の低温耐性等を高める代謝物質の機能解明とDNAマーカーを利用した育種素材の開発
課題番号 2010014887
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,低温耐性研究チーム
協力分担関係 地方独立行政法人北海道立総合研究機構
ホクレン
宮城県古川農試
生物研
青森県農総研
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要 1)フルクタン等の低温耐性に関する機能の解明については、小麦由来フルクタン合成酵素遺伝子が導入された稲では、穎花に蓄積したフルクタンが低温下での穎花へのショ糖の転流不足と単糖供給不足を補うことで穂ばらみ期耐冷性を向上させていることを明らかにした。また、耐凍性強化のためのフルクタン合成酵素遺伝子高発現小麦の作出では、プロモーターなどの改変により、導入遺伝子がサイレンシングを起こさず安定的に高発現するホモ固定系統を得ることが出来た。さらに、小麦低温ショックたんぱく質遺伝子および小麦抗菌たんぱく質を高発現する形質転換小麦を作出することで耐凍性および雪腐病抵抗性強化のための小麦育種素材を開発した。2)低温耐性関連遺伝子の導入による作物の低温耐性強化技術の開発については、飼料用稲品種を原品種として作出した新規遺伝子組換え稲(アスコルビン酸過酸化酵素遺伝子およびガラクチノール合成酵素遺伝子を緑葉特異的・低温誘導性・葯特異的プロモーターにそれぞれ連結して導入)の穂ばらみ期耐冷性は原品種よりも有意に優れていた。21年度に穂ばらみ期耐冷性が向上していることを確認した小麦由来フルクタン合成酵素遺伝子導入稲の生育特性は、出穂がやや遅いことと穂発芽率が低いこと以外には原品種と有意な差異はなかった。3)DNAマーカーを利用した極強耐冷性遺伝子の集積については、稲穂ばらみ期耐冷性遺伝子Ctb1・2、qCTB-8を戻し交配によって集積した系統は、低温処理後稔実率が反復親系統の19%に対して67%と大幅に高く、集積の効果が実証された。この系統の食味は反復親系統と同等以上であったが、出穂が3~7日遅かった。また、穂ばらみ期耐冷性遺伝子座Ctb1は第4染色体の約17 kbの領域に座乗し、この領域に存在するF-boxたんぱく質遺伝子が穂ばらみ期耐冷性遺伝子であることを明らかにした。4)大豆耐冷性関連候補遺伝子に関する準同質遺伝子系統を用いた耐冷性の解析により、第8染色体のSat_162付近に作用力の大きな耐冷性QTLが存在し、このQTLが耐冷性強型の系統では、低温で莢あたり種子数や一粒重の低下が少なく、開花後1週間までの低温への耐性に特に効果を示すことを明らかにした。さらに大規模分離集団を用いて耐冷性遺伝子の座乗領域の絞り込みを行い、452kbpの領域に耐冷性遺伝子が存在することを明らかにした。大豆ゲノム情報から当該領域内の候補遺伝子を抽出し、耐冷性強弱品種間でこれらの塩基配列と発現量を比較することにより、耐冷性候補遺伝子を2つに絞ることができた。
カテゴリ 育種 小麦 飼料用作物 耐寒性 DNAマーカー 抵抗性 品種 良食味

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