課題名 |
b.寒冷地における未利用作物残さ等のカスケード利用技術の開発 |
課題番号 |
2010014946 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構
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研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,寒冷地バイオマス研究チーム
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研究期間 |
2006-2010 |
年度 |
2010 |
摘要 |
米ぬか、稲わら等未利用資源のカスケード利用技術の開発については、1)米ぬか油の精製工程で排出される脱臭スカム油からイオン交換樹脂法により製造したバイオディーゼルの中に、サプリメントに利用される高付加価値テルペノイド物質のスクワレンが抽出可能な濃度で含有されることを確認した。同様に脱ガム油から化粧品や医薬品として利用される高濃度セレブロシドの工業的製造法を開発し、さらに分子種毎の分取に成功した。2)稲わらの滅菌処理理法をバッチ式から蒸気照射方式に変更し、種菌を安価な脱脂米ぬかに変える等培養条件を改善した結果、乾燥重量1tの稲わらを消化率改善作用に優れる白色腐朽菌ハタケチャダイゴケTY-2株によって培養する際に必要なコストを、9500円から4242円まで削減した。また、塩化カルシウムの使用によってセルロースの水溶性化率が71%に向上した。3)各地から採種した腐朽菌ハタケチャダイゴケ系統の酵素活性の比較によって、多糖類分解酵素生産性、リグニン分解酵素生産性およびセルロース糖化活性の高い株を選定した。4)副次的な成果として、イネのビタミンEに関して、(1) 穂ではトコフェロール(Toc)は種子成熟過程で消費される、(2)葉ではほぼTocのみが合成され、出穂後から刈り取り直前まで漸次増大する、(3)強い抗酸化能を有するトコトリエノールが穂に含まれているのは、HGGT酵素(homogentisic acid geranylgeranyl transferase)遺伝子の働きによること等を明らかにした。なたねの低コスト播種、収穫、乾燥調製技術の開発に関しては、1)なたね油仕様に改造したコンバインを用いてなたね、小麦、そば、大豆の収穫試験を行い、作業能率、コンバインこぎ胴回転数等の調査から、軽油で運転した場合と同等の作業が可能であることを確認した。なたね油仕様に改造した発電機は、問題なく約200 時間(コンバインでの60haの収穫時間に相当)運転可能であった。また、チゼルプラウシーダが耕作放棄地のなたね播種に有効であることを明らかにした。2)副次的な成果として、大粒系統「PZ064-9」は「キザキノナタネ」並の熟期、「キラリボシ」比95%の収量性であり、高エルシン酸系統「MC2-6-42-38」は「キラリボシ」並の熟期と収量性を示した。バイオマスの地域循環モデルの開発に関しては、1)なたね生産シミュレーションモデルの対象とする水田転換作物を小麦、大豆、なたね、そばに増やし、なたね栽培面積の増加が成長曲線を描くように改良し、各作物の栽培面積とエネルギー自給率の推移モデルを提示した。また、作物残さのエネルギー賦存量を子実収量から推計する方法を示した。2)なたねは小麦、大豆と作業競合せず使用機械も共通しているため転作集団が取組み易いこと、地場搾油により雇用創出や油かす商品化による地域活性化も果たせること、食用油販売量を維持できれば、小麦・大豆の輪作体系に組み込まれ、栽培面積は安定化すること等を明らかにした。
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カテゴリ |
乾燥
高付加価値
コスト
水田
成長曲線
そば
大豆
低コスト
なたね
播種
未利用資源
輪作体系
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