| 課題名 | (2) 農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明 |
|---|---|
| 課題番号 | 2010014999 |
| 研究機関名 |
農業環境技術研究所 |
| 研究分担 |
(独)農業環境技術研究所,農業環境インベントリーセンター |
| 協力分担関係 |
秋田県農林水産技術センター 千葉大学 (株)太陽計器 岩手大学 (独)農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター (独)農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所 |
| 研究期間 | 2006-2010 |
| 年度 | 2010 |
| 摘要 | ア 温室効果ガス発生抑制、土壌炭素蓄積を含む総合的な温暖化緩和策の定量的評価(1)我が国の農耕地における温暖化緩和ポテンシャル広域評価農耕地への土壌炭素蓄積の効果に関して、発生する3つの温室効果ガスのトレードオフを考慮した総合評価を行った。気象、土壌、土地利用変化データ、および土地利用別、都道府県別の現実的な2種類の有機物投入シナリオ(BAU:直近10 年間の増減傾向を維持、C蓄積:堆肥や緑肥の投入量増加)の下で、全国の農地における土壌炭素量変化、一酸化二窒素発生量、水田からのメタン発生量の推計を行い、全てのガスをCO2換算した総発生量は、1990年は13.7、2020年はBAUで8.1、C蓄積シナリオで6.5Tg CO2当量で、C蓄積シナリオではBAUよりもメタンと一酸化二窒素が増加するが、土壌炭素減少によるCO2排出量が大きく減少するため総合的には緩和効果が大きかった。2020年の吸収量と1990年(基準年)の吸収量との差を比較すると、BAUで560 万t、C蓄積シナリオでは730 万tCO2当量/年の吸収となった。土壌炭素貯留などの温暖化緩和策の定量評価手法や結果は、既に我が国の温暖化緩和策に活用されているが、本成果は一層効果的な対策の実施に資することが期待される。平成20~21年度に全国9カ所で実施した実証試験の結果に基づいて、水管理に関するマニュアルを作成した。本マニュアルは、中干し期間の延長による水田からのメタン発生量の削減効果を示し、農家や普及所などの現場で利用されることが期待される。およそ50年後に想定される大気CO2濃度(約580 ppm)と温暖化環境(通常温度区と比べて水・地温を2℃上昇)を模擬した水田において2カ年にわたりメタン放出量を測定し、現在の環境と比べてメタン放出量が約80%も増加することを明らかにした。これは気候変化が水田からのメタン発生の増加を通して、さらなる温暖化を引き起こす「正のフィードバック」効果の一端を明らかにしたもので、水田からのメタン発生量予測と将来の気候変化予測を行う上で有用な知見である。イ 土壌圏から水域への栄養塩類の流出動態の解明に基づく流域水質汚染リスク評価手法の開発(1)硝酸性窒素による地下水汚染に対する環境脆弱性評価硝酸性窒素などの農地由来の環境負荷物質の浅層地下水を通じた混合・減衰と濃度分布を面的に予測するためのGISモデル「地域的化学物質輸送モデル・MacT(Mixing areal chemical Transport)」を開発した。同モデルでは、台地-低地地形連鎖などの地形的特性による地下水流動方向、地下水の混合による希釈や脱窒による濃度減衰が適切に評価される。同モデルを地形連鎖系小集水域に適用したところ、観測結果と一致する分布が推定された。MacTと土壌中の窒素形態変化・移動と作物吸収を記述するモデルLEACHM(Hutson, 2003)を組み合わせることにより、農地由来の硝酸性窒素による地下水汚染リスク評価システムRealN を開発した。これは、農地から流出した硝酸性窒素による地下水汚染リスクを、対象地域の土壌・地形的特性に基づいて面的に予測することができるシステムである。関東地方の畑作地域を対象として、RealNにより主要な畑作物の現況の作付状況と施肥基準をもとに予測した地下水中硝酸性窒素濃度の面的分布は、地方公共団体による実測値とよく一致した。対象地域では地下水中硝酸性窒素濃度が地下水環境基準値の10 ppmを超過する確率が高く、化学肥料のみ施用量を50%削減しても、硝酸性窒素濃度を基準値以下に低下させることは困難なことが明らかになった。一方、化学肥料を50%削減し、堆肥施用をその代替分のみに限れば(堆肥施用量は約4割削減)、硝酸性窒素濃度が10 ppmを超える確率を効果的に低減できると予測された。 |
| カテゴリ | 肥料 水田 施肥 水管理 輸送 |