課題名 | 未利用みかん果皮の抗認知症成分活用技術と高付加価値品種の開発 |
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課題番号 | 2009014159 |
研究機関名 |
静岡県公立大学法人(静岡県立大学) 静岡県(農林技術研究所果樹研究センター) (国)東北大学(大学院薬学研究科長) (国)東北大学(大学院工学研究科長) (独)農業・食品産業技術総合研究機構(果樹研究所) (株)鈴与総合研究所 静岡県経済農業協同組合連合会 はごろもフーズ(株) ジャパンローヤルゼリー(株) サンケミファ(株) (有)カンズ研究開発 |
研究期間 | 2008-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | (1)ノビレチンの体内動態を精査する手法として UPLC-MS による高感度分析法ならびに PET 解析法の確立を行っている.特に後者では PET プローブ合成を指向したノビレチン合成研究を戦略的に展開し,5-O11CH3-ノビレチンを獲得するに至った.また,ノビレチンの効果向上を目的とした新規製剤技術開発をモデル化合物ならびにノビレチンを用いて行い,経口吸収性の極めて高い固体分散体製剤技術の開発に成功した。(2)カンキツ品種・系統のノビレチン(NOB)及びポリメトキシフラボノイド(PMF)の含量を測定し、高含有品種・系統として‘タチバナ’、県育成系統‘S1180’、‘太田ポンカン’、‘興春ポンカン’、‘柑子’、‘紀州ミカン’、‘タンカン’、‘南豊蜜柑’、‘かんきつ中間母本農6号’、‘べにばえ’、‘早香’が高含有品種として選抜された。‘太田ポンカン’ は県内主要栽培品種で、 ‘タチバナ’も特産果樹として有望である。これらも含め、県内主要栽培品種及び育成系統、在来カンキツ150種から比較的含有量の高い品種・系統が40程度あり、これらのPMF含有量は幼果(7月採取)から成熟期に向かうに従い減少する傾向があった。青島温州を抽出原料とする場合、1樹あたりのNOB回収量が最大となるのは粗摘果での収穫である。特異的組成を有する品種として、‘興春ポンカン’、‘天草’、‘農5号’、‘はるみ’、‘不知火’、‘清見’、‘リモニア’、‘キングマンダリン’を見いだした。(3)ジャパンローヤルゼリーにおいて温州みかん果皮からHP-20カラムを用いて濃縮したサンプルが,神経細胞のモデル細胞(PC12D細胞)のみならず培養海馬神経細胞においても学習・記憶に重要な細胞内情報伝達系(CRE依存的転写活性)を強く賦活することを確認した.また,東北大学工学研究科で開発した超臨界CO2単独抽出条件により,細胞毒性をほとんど示さず,ノビレチンを高濃度に濃縮することに成功し,このように調製したサンプルは良好なCRE依存的転写促進活性を持つことが示唆された.さらに,農研機構の果樹研究所・カンキツ研究興津拠点,静岡県農業技術研究所・果樹研究センターと共同で昨年度ノビレチン高含有の興春ポンカンと農林6号を抗認知症活性を示す柑橘類の有望な候補として見出したが,今年度はさらに太田ポンカンと橘を有望な候補品種として発掘することに成功した.また、PC12D細胞において国産柑橘類果皮中にCRE依存的転写促進活性を持つノビレチンとは異なる成分が存在することを示す証拠を得た。(4)安価で安心な抽出技術開発の一環として,CO2+エタノール+水による膨張液体の利用に着目し,溶解度パラメーター(SP値)に基く迅速かつ高効率の条件探索指針を策定することを目的とした.各種フラボノイドの溶解度を実測し,得られたデータと高圧流体のSP値を比較すると,正則溶液モデルで表現できる相関関係があることが判明し,分離予測シミュレーションの中軸を構築することができた.また,当初の計画以外にも東北大学薬学研究科との連携を図ることにより,ノビレチンの生理活性にシナジー効果が期待される抽出条件も大枠で特定することができた.(5)みかん果皮を産業廃棄物として処理されているもののほとんどは果汁と缶詰向けの加工仕向けである。果汁向けとしては全国で毎年約5~9万トンのみかんが仕向けられている。缶詰は2~3万トン程度である。果汁加工方法のほとんどはインライン方式で皮を剥かずに搾汁する方法であるため、搾汁後、原料みかんの約半分は産業廃棄物として処分される(推定3~4.5万トン)。缶詰加工方法は皮を剥くチョッパー方式である。皮は現在、乾燥してチンピに利用するなど利用価値は高まっている。(推定0.6~0.9万トン)(6)みかん果皮からのノビレチン抽出効率は、粗粉砕品、微粉砕品、ナノ化粉砕品と原料が細かくなるにつれて高くなり、一方、抽出溶媒の極性が低くなるにつれて差が大きくなった。ナノ化と同時に抽出を行うナノ化エタノール直接抽出を検討しほぼ100%のノビレチンが短時間で全量回収でき、且つ、爽雑物の混入が少ないため相対的に抽出エキスの濃度が上昇することを明らかにした。エタノールに一晩浸漬した後にナノ化抽出する場合と、エタノールに浸漬直後にナノ化抽出をする場合で差異は認められなかったことから連続抽出の可能性が示唆された。 |
カテゴリ | 馬 温州みかん 加工 乾燥 高付加価値 たんかん 品種 ぶどう ぽんかん その他のかんきつ |