課題名 | 新規接ぎ木法による地域条件に適応したトマト土壌病害総合防除技術の開発 |
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課題番号 | 2009014218 |
研究機関名 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道立花・野菜技術センター 新潟県農業総合研究所 山口県農林総合技術センター ベルグアース株式会社 |
研究期間 | 2009-2011 |
年度 | 2009 |
摘要 | (1)台木の本葉2葉上での接ぎ木苗生産が可能であることを確認した。接ぎ木前育苗日数を通常設定より10~15日程度延長する必要が明らかとなった。また、接ぎ木前育苗のトレイセル数や接ぎ木後育苗の苗規格により苗姿が異なることが示された。ナス台木苗においては、斜め合わせ接ぎ木を行った場合、出荷時のナス台木の茎径はトマト台木の約半分であった。(2)(1)接ぎ木部位、台木品種や定植方法等の違いによる青枯病の発病抑制効果の検討として、高接ぎ木栽培で安定した効果を示す台木品種は、Bバリアであり、高接ぎ木での接ぎ木部位は、最低でも第2葉位以上でなければ効果は認められないことを明らかにした。また、置き植えによる発病遅延効果を確認した。(2)現地試験圃場での高接ぎ木トマトの生育特性調査として、高接ぎ木トマトは現地圃場において慣行接ぎ木と同等に生育すること、収量も高いことを明らかにした。(3)台木品種の青枯病抑制機構の解明と上位茎部での青枯病菌の分布と増殖の解析として、台木品種LS-89の茎組織では、木部導管での物理的な防御反応に加え、木部から髄組織への青枯病菌の移行を抑制する機構が働いていることを明らかにした。台木品種の茎部での感染株率をみると、上位茎部ほど低下し、中でもBバリア、レシーブは高接ぎ木に適している可能性が示された。(3)(1)ナス台木トマトのトマト土壌病害に対する発病抑制効果の調査として、台太郎、トルバム・ビガー及びトナシムのナス台木トマトでは、接ぎ木トマトに比べて高い青枯病の発病抑制が確認された。ナス台木トマトの褐色根腐病、かいよう病及び萎凋病に対する発病抑制効果をポット試験により明らかにした。(2)ナス台木トマトの生育、果実収量及び品質等の影響の検討として、抑制作において、慣行トマト台木に比べて、ナス台木トマトでは商品果収量が半分程度かそれ以下であり、一果重も小さいことが明らかとなった。(3)ナス台木の青枯病抑制機構の解明及びトマト黄化葉巻ウイルスのナス台木トマトの影響解析として、ナス台木の木部組織では病原細菌の移行を抑制する機構が働いていることを明らかにした。トマト黄化葉巻ウイルス感受性穂木は全てウイルス に感染し黄化や萎縮の症状が見られたが、ナス台木の接合部や根で壊疽等の症状は見られず、ウイルスも感染しないことを解明した。(4)本課題においては、(1)トマト萎凋病、半身萎凋病及び青枯病を対象に酵母抽出液(YE)土壌混和資材等の効果の検討及び発病抑制機構の解明として、萎凋病は、YEの根部処理により、また、青枯病は株元のYE資材混合培土へのYE 処理により高い発病抑制効果が確認された。YE処理したトマト根部では皮層での青枯病菌の移行・増殖が抑制されることが明らかとなった。(2)還元土壌消毒における青枯病菌等の消毒効果の検討として、組み合わせ防除体系中、新規接ぎ木法導入前の深耕還元消毒処理を実施した。深耕還元消毒の青枯病に対する高い消毒効果を確認した。春秋期処理も従来法と同等の効果を示した。(3)新規接ぎ木苗と酵母抽出液の組み合わせ防除効果の確認として、新規接ぎ木法とYE資材土壌壌混和処理を組み合わせた区で発病遅延効果を認め、青枯病等に対する防除の相乗効果があることを明らかにした。(4)ファージと選択培地を用いた青枯病菌の高感度検出手法の開発及び土壌や植物根圏からのDNA抽出方法と病原糸状菌検出用プライマーセットの構築として、青枯病菌菌株を溶菌する宿主域が広いファージを1株分離し、1mlあたり1個程度の病原細菌の存在を確認できることを明らかにした。土壌からのDNA抽出法を調査し、簡便な抽出法を提案した。また、Verticillium dahliaeにおいて70菌株以上の目的塩基配列情報を得ることができ、検出用のプライマーセットを設計した。 |
カテゴリ | 青枯れ病 育苗 栽培技術 出荷調整 総合防除技術 台木 高接ぎ 接ぎ木 土壌消毒 トマト なす 根腐病 品種 防除 |