課題名 | インフルエンザの新たな監視・防除技術の開発 |
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課題番号 | 2011017576 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,動衛研,ウイルス・疫学 |
協力分担関係 |
タイ国立家畜衛生研究所 タイ・マヒドン大学獣医学部 大阪大学微生物病研究所 ディナベック株式会社 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2011 |
摘要 | インフルエンザ研究に関しては、a)平成22年に国内で発生したH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスであるA/chicken/Shimane/1/2010株が、本来の宿主ではないマウスに対して馴化を必要とせずに肺でよく増殖することを明らかにし、マウスに対する50%致死ウイルス量 が、102.6 EID50 とわずかな量でも高い致死性を示すことを明らかにした。国内各地から分離され病性鑑定として依頼された27株のHA遺伝子の系統樹解析により、27株がclade2.3.2.1に属する一つのクラスターを形成し、北海道でカモの糞から分離されたH5N1亜型ウイルスとも近縁性が極めて高いことを明らかにした。b)A/chicken/Shimane/1/2010株は、スズメに致死的感染を起こすことを明らかにするとともに、ウイルス接種スズメと非接種鶏を同居させると、一部の鶏が感染・死亡することを証明し、スズメが媒介者となる可能性を示した。c)新型インフルエンザの出現を監視するシステムについては、タイ国で一貫経営養豚農家におけるウイルス循環に関与する要因を解析した結果、2008年から2009年までに、タイ国の中央部に位置する3つの一貫経営農場で分離された合計12株の豚インフルエンザウイルスが、系統樹解析によって異なる農場であっても共通の先祖株を持つことを明らかにした。また、ウイルス分離率は1.6%で、10株が離乳豚から(分離率4.3%:232検体)、1株が肥育豚から(分離率0.5%:208検体)、1株が他農場からの導入豚(分離率1.6%:64検体)から分離され、母豚(227検体)からはウイルスが分離されなかったことから、農場でのウイルス循環に離乳豚が重要な役割を果たしていることを明らかにした。d)現行の不活化ワクチンと比較して、より効果的で安全かつ省力的に接種できるワクチン手法の開発においては、不活化高病原性鳥インフルエンザウイルスを2回点眼投与することにより、血清中にウイルス特異的抗体の産生を誘導できることを明らかにし、特許出願を行った。e)H5、H7 亜型高病原性鳥インフルエンサ?ウイルスの診断システムの開発およひ?有用性の検証においては、H5、H7亜型遺伝子迅速検出系の普及のために全国47地方自治体家畜衛生保健所における実証試験を行った。f)リバースジェネティクス法を用いた高病原性鳥インフルエンザウイルスの病原性解析において、ウイルス内部遺伝子の組成の違いがウイルスに感染した鶏の生存時間に影響を与えることを明らかにした。さらに、タイでハトから分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスの野鳥、マウスを用いた感染実験によって、ウイルスが引き起こす免疫応答が宿主ごとに異なることを明らかにした。 |
カテゴリ | 経営管理 飼育技術 鶏 豚 防除 |