低コスト栽培向きの飼料用米品種及び稲発酵粗飼料用品種の育成

課題名 低コスト栽培向きの飼料用米品種及び稲発酵粗飼料用品種の育成
課題番号 2012020345
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 加藤浩
協力分担関係 国際農林水産業研究センター熱帯島嶼研究拠点
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 稲発酵粗飼料用多収イネ品種に関しては、a)北海道地域では、いもち病抵抗性と耐冷性が強い「北海319号」の収量性を評価し、「たちあおば」より低収のTDN収量0.69t/10aにとどまることがわかった。いもち病抵抗性と耐冷性が強い全重多収系統を選抜した。b)東北地域では、「奥羽飼403号」、「奥羽飼414号」の地域適応性を評価し、「奥羽飼403号」は、全重に対する粗玄米重の割合が少なく、茎葉型の稲発酵粗飼料用の系統として有望と判断した。「奥羽飼414号」は、押倒抵抗性に優れ、長稈ではあるが直播栽培においても倒伏しにくく有望と判断した。両系統とも実用化に向けて実施した現地試験でも優れた特性を示すことを確認した。c)北陸地域では、新潟県で有望視されていた「北陸飼233号」のβ-カロテン含量は21mg/kgとなり、「夢あおば」より低いものの、「ふくひびき」より高いことを確認した。本系統は現場や行政レベルでの要望が高まっていないことから品種登録出願は見送りとした。また、米麦二毛作向け「北陸糯242号」の地域適応性を評価し、TDN収量0.97t/10aで「夢あおば」とほぼ同じであることがわかった。d)関東東海地域では、「関東飼糯254号」を稲発酵粗飼料専用の新品種候補系統とした。低リグニン系統の「関東飼糯254号」は、茎葉の割合が高く、移植でも直播でも全重が多収で、耐倒伏性が強く、また、株の再生も良いことがわかった。米麦二毛作向け「関東飼231号」の収量性を評価し、乾物収量2.06t/10aの多収性を認めた。稲発酵粗飼料として全重収量が多収となる耐塩性の系統「関東飼265号」を新配布系統とし、平成25年度以降、津波被災地での現地試験を実施する。e)近畿四国中国地域では、極短穂・茎葉多収品種「たちすずか」が中国地域を中心として普及が進んでいることから農林認定申請を行った。また、「たちすずか」より2週間程度出穂が早い中生の極短穂・茎葉多収系統「中国飼205号」を「たちあやか」として品種登録出願を行った。f)九州地域では、「モグモグあおば」の農林認定を申請した。晩生系統である「西海飼287号」は、普通期の乾物収量1.8t/10a(TDN収量1.08t/10a)の多収性を認めた。
飼料用米向け多収品種に関しては、a)北海道地域では、「北海318号」の生産力を検定し、10日ほど晩生の「きたあおば」と同等の粗玄米収量0.88t/10aを達成した。「北海320号」については少肥疎植で、晩生の「きたあおば」と同等の多収を達成した。b)東北地域では、大粒で識別性がある多収系統の「奥羽409号」について、現地試験を実施し好成績が得られたので、平成25年度からの生産利用に向けて品種登録出願候補とした。「奥羽410号」は、粗玄米収量0.87t/10aで、比較品種の「ふくひびき」の0.91t/10aを下回った。「ふくひびき」、「べこあおば」並の多収で、トリケトン系4HPPD阻害型の除草剤感受性があり、玄米品質が極不良で食用米との識別性がある系統を「奥羽421号」とした。c)北陸地域では、「北陸245号」、「北陸飼252号」の収量性を評価し、それぞれ粗玄米収量0.73t/10a、0.75t/10aであったが、それぞれの比較品種である「ハバタキ」の0.78t/10a、「北陸193号」の0.84t/10aを下回った。d)関東東海地域では、既存の多収品種「タカナリ」や「北陸193号」を超える多収系統として「関東264号」を選抜した。本系統は粗玄米収量0.95t/10aを達成し、平成25年度以降、各地で試験を実施することとした。e)近畿中国四国地域では、生産力検定において、押倒抵抗性値が「北陸193号」より高く、粗玄米収量が0.95t/10aで「ホシアオバ」、「北陸193号」より高い「多収系1111」を得た。f)九州地域では、「西海198号」が普通期栽培で粗玄米収量0.63t/10aに止まり、収量は高くないことがわかった。「西海298号」は粗玄米収量0.83t/10a、中生系統「飼197」は早植で同0.87t/10a、普通期で同0.73t/10aと多収性を認めた。
除草剤感受性を導入した有色米に関しては、a)東北地域では、除草剤感受性を導入した有色米について、系統選抜及び収量試験を行い、「羽系赤1736」は粗玄米重0.76t/10aと「ふくひびき」より4%多収で有望であった。b)関東東海地域では、有色米系統の「和2572」、「和2573」の粗玄米収量は0.49t/10aと0.64t/10aとなり、有色米の収量向上にはさらなる改良が必要であった。c)近畿中国四国地域では、除草剤感受性を導入した有色米としては、生産力検定試験において6系統を選抜した。
カテゴリ 病害虫 いもち病 直播栽培 収量向上 除草剤 飼料用米 飼料用作物 新品種 多収性 抵抗性 低コスト栽培 二毛作 品種

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