フードチェーンにおける危害要因の迅速・高精度評価技術及び衛生管理技術の開発

課題名 フードチェーンにおける危害要因の迅速・高精度評価技術及び衛生管理技術の開発
課題番号 2012020411
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 川本伸一
協力分担関係 ダッカ大学
カンボジア王立農業大学
ラオス清浄野菜センター
東京農工大学
東京大学
豊橋技術科学大学
荏原実業株式会社
プリマハム株式会社
株式会社大生機械
The Eastern Regional Research Center (ERRC)-ARS-USDA
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 食品の製造・加工・流通の過程で生成する有害化学物質に関しては、a)アクリルアミドについて、平成22年6月までの4年間に主要6都市でメーカーの異なる2銘柄の市販ポテトチップをサンプリングして得たデータを解析した。ロット>月≒メーカー>地域、の順にアクリルアミド濃度の変動に対する寄与が大きいことを明らかにし、また平成20年8月以降アクリルアミド濃度の周年変動抑制と平均値の低下を観測した。b)ポテトチップ原料のバレイショについて、アクリルアミド低生成型の品種・系統の選抜とエチレン存在下での長期貯蔵法を検討した結果、「勝系33号」は長期貯蔵してもアクリルアミド生成因子含量を低く保つことを示した。c)味噌を密閉容器内で加熱した際のフランの生成挙動について、一般的な味噌、だし入り味噌、液体味噌の3種全てで、100℃・30分間の加熱によりフラン濃度が顕著に(未加熱の50~130倍)増加すること、また加熱時間の合計が同じでも間欠的に加熱した方がより多くのフランを生成することを明らかにした。
有害微生物等による汚染の検知・予測技術に関しては、a)遺伝子定量技術を用いてサルモネラ増殖モニタリングを可能とし、MPN法と併用した鶏肉中のCampylobacter jejuni定量計測にも成功した。b)食中毒菌の迅速多重検出システムについて、実食品への接種試験で黄色ブドウ球菌も同時検出できることを確認した。c)増殖リスク予測について、液体培地系において、食中毒細菌のBacillus cereusの増殖を確率論的に予測可能とする数理モデルを開発した。本モデルによって、環境のpH、食塩濃度、温度の情報から保存期間中に食中毒菌が増殖するか否かの予測を可能にした。d)蛍光指紋による非破壊検査について、豚肉のケーススタディから、生菌数と相関する蛍光指紋の領域を特定し、生菌数推定モデルを作成した。そして当モデルを豚肉表面の蛍光画像に適用し、生菌の増殖と分布の可視化に成功した。
総合的な有害微生物の高効率・高品質制御技術の開発に関しては、a)散布薬剤と大腸菌との関係について、国内で流通しているレタス用散布薬剤33剤を対象に、推奨希釈濃度に調製した農薬液中における各種大腸菌の生残性を調べ、いずれの菌株も農薬液中で増殖することはなく、薬剤散布が可食部の大腸菌汚染につながる可能性が低いことを明らかにした。b)堆肥製造マニュアルの推奨水分含量(約68%)と農家の慣行的な水分含量(約72%)で堆肥を製造し、堆肥の品温と大腸菌数から判断して、安全な堆肥製造には9週間以上の堆肥製造期間が必要であることを明らかにした。c)アクアガス(過熱水蒸気中に高温の微細水滴を分散させた気液二相加熱媒体)により大腸菌O157を接種した野菜(ニンジン・ダイコン)と果実(パイナップル・メロン)を表面処理し、剥皮加工した後も殺菌効果と品質が維持されることを確認した。d)豆乳中に添加した枯草菌芽胞に対して100~120℃の短波帯交流電界処理を行うことで、昇温時間の短縮や生存芽胞数を1/1,000まで低減することに成功した。さらに、短波帯交流電界処理と豆腐製造と同等の低温加熱処理(80℃、30分)を併用することにより、品質に影響することなく、生存芽胞数を1/100,000以下までに低減可能とした。
食品害虫の予防・駆除技術に関しては、a)カツオブシ虫類を対象とするフェロモントラップを開発し、民間企業で実用化された。貯蔵試験の結果、同トラップの効果は6か月以上持続することを示した。b)トウガラシのコクゾウムシに対する忌避効果には、トウガラシ本体由来の揮発物質の関与を見出した。
このほか、a)3種のグリセロ脂質(トリオレイン、トリリノレイン、トリリノレニン)を含む水を電子レンジで最大20分まで加熱しても、トランス異性化は認められず、電子レンジ調理によりトランス脂肪酸が生成する可能性は低いことを明らかにした。b)枯草菌は100 MPaの中高圧力下で発芽が誘導され、特に、50℃以上では発芽誘導された栄養細胞が熱により死滅する、つまり自滅的発芽誘導する事例を確認した。c)平成23年度に発生した和菓子大腸菌O157集団食中毒事件を受けて、市販団子製品8種類を対象とした接種・保存試験を実施した結果、製造過程における確実な加熱処理と、その後の菌の混入を抑制することが、このような事件の発生を抑制するために重要であることを再確認した。
カテゴリ 病害虫 害虫 加工 管理技術 だいこん 長期保存・貯蔵 とうがらし にんじん 農薬 パイナップル ばれいしょ 評価法 品種 フェロモン メロン モニタリング 薬剤 レタス

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