課題名 | 低コスト栽培向きの飼料用米品種及び稲発酵粗飼料用品種の育成 |
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課題番号 | 2013023016 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
山口誠之 |
協力分担関係 |
国際農林水産業研究センター熱帯島嶼研究拠点 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 稲発酵粗飼料用多収イネ品種に関しては、a) 東北地域以南向けの稲発酵粗飼料用「奥羽飼414号」を新品種候補系統とした。黄熟期乾物 重が、直播多肥栽培で「べこごのみ」より5%、移植多肥栽培で7%大きく、普及予定地(秋田県平鹿地区)では食用品種の収穫前の黄熟期収穫が可能であり、黄熟期乾物重が大きくサイレージとして良好な評価を得た。b) 縞葉枯病抵抗性を保有する「西海飼287号」は、普通期栽培でのTDN収量が1.03t/10aで、「タチアオバ」より19%多収となり、「関東飼258号」は、多肥栽培、標肥栽培、直播栽培のいずれにお いても、「たちすがた」よりも多収で有望であると判断し、両系統とも収量性が優れることから試験を継続することとした。c) 耐塩性が 強い「関東飼265号」は、多肥栽培では倒伏しやすいものの、標肥栽培では倒伏せず多肥栽培と同等の収量が得られたため、現地試験を含 めて試験を継続し、品種登録を検討することとした。d) いもち耐病性と耐冷性が強く多収の寒地向け「北海328号」及び標肥栽培でも多収の温暖地向け「関東飼272号」を開発し、新配付系統とした。e) 有望系統として、黄熟期乾物重が移植、直播(散播)栽培とも「たちすずか」より高い温暖地向け「多収性1116」、稲麦2毛作向けに早生で早植、普通期及び晩稙で多収の暖地向け「飼19」、中生で早植及び普通 期栽培で「モグモグあおば」より多収の暖地向け「飼225」を選抜した。このほか、籾の割合が少なく茎葉が多収となる系統や低ケイ酸性 系統の選抜を進め、また、小穂性や低リグニン性を導入した消化性向上系統開発のための個体選抜、系統選抜を進めた。 飼料用米向け多収品種に関しては、a) 「ふくひびき」の脱粒性を改善した「奥羽421号」及び「タカナリ」の脱粒性を改善した「関東264 号」は、多肥栽培でそれぞれ0.96t/10a(ふくひびき比112%)、0.98t/10a(タカナリ比112%)と高い粗玄米収量性を示すことを確認した。b) 「北海320号」の少肥栽培における粗玄米収量は0.78t/10aであり、「きたあおば」より19%多収で、少肥栽培での多収性を確認した 。c) 「西海298号」は早植栽培で粗玄米収量0.76t/10aで、「ニシホマレ」、「ミズホチカラ」、「北陸193号」より多収となることを確認した。d) 新配付系統として、寒地向けでは、いもち耐病性と耐冷性が「きたあおば」より優れ、「きたあおば」並以上の粗玄米収量性を 示す「北海326号」、「北海327号」、「北海328号」、「北海329号」を開発した。極多肥栽培で「北海329号」は0.95t/10a(きたあおば比110%)、「北海327号」は0.93t/10a(同109%)の多収を得た。寒冷地向けでは、多収で耐冷性がやや強く、大粒で識別性がある「奥羽427号」を開発した。温暖地向けでは、「北陸193号」より多収の「関東飼271号」と「ホシアオバ」より多収、短稈で耐倒伏性に優れる「中 国217号」を開発した。直播栽培(散播)で「中国217号」は粗玄米収量0.96t/10a(ホシアオバ比122%)を得た。e) 有望系統として、「 北陸193号」より多収の「収9037」、「収9300」を選抜した。「収9037」は極多肥栽培で粗玄米収量0.91t/10a(北陸193号比109%)を得た。また、「羽622」、「羽624」等の収量性に優れる暖地向き系統6系統を選抜した。f) 除草剤感受性を導入した有色米について、温暖地向けでは、「朝紫」を母本に用いた「和2787」と、晩生で「ベニロマン」より多収で長稈である「多収系1129」を選抜した。暖地向けでは、節が紫黒色に着色し、生育初期段階においても食用米品種と識別性がある「飼355」を選抜したが、除草剤感受性を保有していないと推測 され、平成26年度以降の取り扱いには検討を要する。このほか、a) 生産しやすく栄養価の高い稲発酵粗飼料用水稲品種「たちすずか」が 「農業新技術2013」に取り上げられた。 |
カテゴリ | 病害虫 寒地 直播栽培 縞葉枯病 除草剤 飼料用米 飼料用作物 新品種 多収性 抵抗性 低コスト栽培 品種 |