繁殖性及び生涯生産性等に対する効率的な家畜育種技術の開発

課題名 繁殖性及び生涯生産性等に対する効率的な家畜育種技術の開発
課題番号 2013023029
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 佐藤正寛
協力分担関係 (独)家畜改良センター
家畜改良事業団
日本ホルスタイン登録協会
北海道酪農検定検査協会
北海道ホルスタイン農業協同組合
秋田県農林水産技術センター畜産試験場
宮崎県畜試川南支場
帯広畜産大学
信州大学農学部
(株)J-オイルミルズ
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 家畜の生涯生産性を向上させる遺伝的能力の評価基準に関しては、a) 乳牛の在群性能力と生産形質及び乳中体細胞スコア(SCS)との遺 伝的関係について、選抜の正確度を算出するプログラムを開発し、家畜改良事業団で収集された記録を用いて在群性能力を評価したところ、選抜の正確度は、通常の在群性記録に乳量とSCSを組み合わせることによって高くなることを明らかにした。b) 一腹体重(LW)を腹内における子の体重(BW)の総和としたモデルにより、BWの分散成分を推定したのち、LWの直接遺伝分散及び母性遺伝分散を推定する方法を考案した。豚のパイロットアニマルとして30,990頭のハムスターにおける離乳時一腹体重において、雌親の一腹体重の遺伝率を、直接遺伝率と母性遺伝率に分離することにより、従来よりも効率的な育種改良を可能とした。c) シミュレーションにより発生させた豚の擬似的な離 乳時個体別体重の母性遺伝効果は、真値の個体別体重による母性遺伝効果と高い正の相関がみられ、シミュレーションによる疑似的な母性遺伝効果によって真の母性遺伝効果を推定できることを明らかにした。d) 家畜改良センターの豚デュロック種造成時における生時体重と 腹内における生時体重のばらつきとの間には負の相関があるものの、腹内における生時体重のばらつきは育種改良が可能であることを明らかにした。
鶏の経済形質の改良に有用な遺伝情報の探索と遺伝子改変技術の確立に関しては、a) 不断給餌によって維持される宮崎県の地頭鶏種鶏群 を用いてコレシストキニンA受容体遺伝子(CCKAR)の一塩基多型A(Aアリル)の頻度を計画的に上昇させる実証試験から、DNA選抜第1世代において発育形質の改善効果を見出した。一方、制限給餌によって維持される九州ロード種鶏群雌では、CCKARの遺伝子型間の体重への影 響は明確でなかったものの、産卵率については、Cアリルが85.9%で、Aアリルの79.5%よりも高いことを明らかにした。b) 鶏肉のうま味 を高めるアラキドン酸含量の多い比内地鶏では、3つの酵素(デルタ6デサチュラーゼ、エロンガーゼ5、デルタ5デサチュラーゼ)遺伝子の一塩基多型がアラキドン酸高含量に寄与していることを明らかにした。c) 横斑プリマスロック及び白色レグホンの初期胚由来の始原生殖 細胞を長期培養して得られた2系統の始原生殖細胞株(PGC-LCs)を移植した宿主胚から得た成熟キメラ2個体のうち、1個体がPGC-LCsに由 来する後代であることを確認した。d) 生殖細胞特異的遺伝子発現調節領域の下流に蛍光遺伝子(Venus)を連結した配列を組み込んだ遺伝子導入ニワトリ胚では、いずれの生殖細胞においてもVenus遺伝子による黄色蛍光は観察されなかったが、その生殖巣においてVenus遺伝子が転写されていることを明らかにした。
ミツバチの蜂群の維持に重要な抗病性付与技術に関しては、a) 平成24年度に単離したニホンミツバチ腸管由来の菌株のうち、アメリカ腐 蛆病菌に対して抗菌活性が認められた候補菌株(Ni10株)は、Bacillus cereusであると推定し、アメリカ腐蛆病菌培養液にNi10株培養上 清を添加すると生菌数が大幅に減少したことから、Ni10株上清はアメリカ腐蛆病菌に対して殺菌的に作用することを見出した。b) 近年問 題となっているノゼマ病の衛生管理実態調査の結果、日本養蜂協会青年部所属の養蜂農家から採集した働き蜂のうち1/3の群からノゼマ原 虫Nosema ceranaeのDNAを検出したことから、我が国のセイヨウミツバチにはノゼマ病が蔓延していると判断した。
このほかa) 豚の系統造成及び系統維持において、後代の平均近交係数を最小にする交配組み合わせを導くプログラムを開発した。b) アラキドン酸生合成に関わる酵素の遺伝子多型情報を活用することにより、鶏肉脂肪酸中のアラキドン酸含量の高い鶏を効率的に選抜する手法を開発した。
カテゴリ 育種 飼育技術 乳牛 繁殖性改善 評価基準 ミツバチ

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