高商品性ニホンナシ・クリ及び核果類の品種育成と省力生産技術の開発

課題名 高商品性ニホンナシ・クリ及び核果類の品種育成と省力生産技術の開発
課題番号 2013023043
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 齋藤寿広
協力分担関係 東京農大
もりや産業(株)
(株)HKNエンジニアリング
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 ニホンナシの自家和合性又は自家摘果性の良食味品種の育成に関しては、a) 全国での試作試験に基づき、供試したいずれの系統も品種候補として有望であると判断した。中でも、「筑波54号」(極早生)と「筑波56号」(黒斑病、黒星病複合抵抗性)は産地から有望であるとの評価があり、普及が見込まれることから、品種登録出願することとした。b) 黒星病抵抗性、自家和合性、自家摘果性等の形質を付与し た良食味品種育成を目的として、15組合せ、2,838粒の交雑種子を獲得した。c) 交雑実生919個体の果実特性等を調査し、自家和合性、自 家摘果性あるいは黒星病抵抗性を有する良食味の3個体を系統適応性検定試験(系適)の供試系統の候補と判断し、732個体を淘汰、184個 体を継続調査とした。d) 平成24年度に獲得した交雑種子のうち2,575個体について自家和合性、黒星病抵抗性に関するDNAマーカーを用い て幼苗選抜を行い、908個体を選抜した。
ニホンナシ等の省力・軽労化技術及び果肉障害対策技術等の安定生産技術の開発に関してはa) 溶液受粉において、ニホンナシの「豊水」 ではホルクロルフェニロンの添加により、「あきづき」及び「秋麗」では従前の溶液組成で慣行受粉と同程度の結実を得た。b) 「あきづ き」では7~8月の弱い水分ストレスで水浸状障害が、「王秋」では7~8月の弱い水分ストレスあるいは8月の強い水分ストレスでコルク状 果肉障害の増加を認めた。「あきづき」のコルク状障害は収穫が遅くなると増えるが、エスレル処理や摘心によりコルク状障害の発生を低減できることを確認した。c) モモの「あかつき」で果実発育第1期のポリ袋による被覆処理により、水浸状重症果の発生が増加することを確認した。果実発育第1期のカルシウム散布又は花かすの除去によって、水浸果の障害程度を軽減できることを見出した。さらに無摘蕾樹 では、摘果時期が遅れると水浸果が増加することを確認した。d) 施肥量を半減した被覆尿素の春1回局所施肥では、尿素の秋施肥や被覆尿素の全面施肥と比較し、葉中窒素濃度、果実収量、果実品質に差異はなく、土壌の化学性についても差はないことを確認した。
核果類の系統評価及び新たな交雑種子の獲得、交雑実生の特性調査に関しては、a) 核果類14系統の地域適応性については一部の系統で未 結実の場所があったことから、継続調査と判断した。b) モモでは着色良好で無袋栽培可能な白肉品種を中心に、ウメでは自家和合性及び 赤肉を、スモモでは自家和合性を目標とした合計34組合せ、6,583花の交雑を行い、420個体の交雑実生を獲得した。c) 保有する交雑実生 全745個体中、407個体について特性調査を行い、果実形質等が優れるモモ5、ウメ4、スモモ3の計12個体を注目個体としてそれぞれ選抜し 、221個体を淘汰、512個体を継続調査とした。d) 東京農業大学と共同で、ほうき性と菊咲性を併せ持つモモ2系統を観賞用新品種候補として選抜した。
クリの系統評価及び新たな交雑種子の獲得、交雑実生の特性調査に関しては、a) クリ4系統について特性と地域適応性を調査する全国での試作試験は、果実形質及び栽培性の検討が不十分であることから継続調査と判断した。b) 易渋皮剥皮性の良食味品種育成を目的として、 クリ9組合せ、2,090粒の交雑種種子を獲得した。交雑実生419個体の果実特性等を調査し、良食味や易渋皮剥皮性等の形質を有する有望な11個体を再調査と判定し、225個体を淘汰、183個体を継続調査とした。
このほか、a) ニホンナシでは、ガンマ線照射花粉を利用した交配により、花粉側突然変異の自家和合性個体を獲得し、自家和合化の原因 を推定した。b) 核果類では、新梢への付傷接種法によるモモせん孔細菌病拡大抵抗性の評価法を開発するとともに、保有遺伝資源の品種 間差異を明らかにした。c) クリでは、ニホングリの易渋皮剥皮性の判別が可能なDNAマーカーを開発した。
カテゴリ 遺伝資源 うめ 果肉障害 くり 黒星病 軽労化 受粉 新品種 すもも 施肥 せん孔細菌病 DNAマーカー 抵抗性 日本なし 評価法 品種 もも 良食味

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