課題名 | 気候変動下における水稲の高温障害対策技術の開発 |
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課題番号 | 2013023085 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
森田敏 長田健二 |
協力分担関係 |
気象庁地球環境・海洋部 熊本大 群馬県農技セ 兵庫農水総技セ 和歌山果試 生物研 愛媛大 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 水稲高温障害の広域解析に関しては、全国メッシュ農業気象データと水稲発育予測モデルを用いて、出穂後20日間の平均気温がある閾値 以上となる高温遭遇確率を推定するプログラムを作成するとともに、得られた高温遭遇確率が、水稲の高温登熟障害回避のための移植期設定基準として有効であることを明らかにした。また、全国メッシュ気象システムに都道府県範囲、土地利用比率などの情報を追加し、広域利用環境を整備した。 高温障害、収量変動のメカニズムの解明と安定多収栽培技術の開発に関しては、 a) 玄米充実不足の品種間差異と生理・遺伝的要因について、玄米充実不足の指標の一つである玄米表面の溝の深さを27品種で解析し、高 温登熟条件では「にこまる」、「西海259号」、「北陸174号」、「西海258号」の溝が浅く、「チヨニシキ」、「ひとめぼれ」、「初星」 の溝が深いことを明らかにした。b) 水稲の基部未熟粒の発生を抑制するために、出穂後15日間の日最低気温が24.5℃を超えると予想され る場合には、出穂前17日頃の葉色に応じて穂肥を決定する穂肥量決定プロセスの骨格を作成した。c) 多収品種「北陸193号」と「ミズホチカラ」の籾数は、出穂期の地上部窒素吸収量21g/m2前後で最大に達し、それ以上では頭打ちとなることを明らかにした。また、「北陸193 号」において、籾数の最大値の年次変動と出穂前30日間の日射量との間に正相関を認め、このことが潜在収量の地域間差をもたらす可能性を見出した。 作物モデルに連動させるための群落気象評価手法等の開発に関しては、10時に取水し16時に落水する水管理法が登熟期の水田水温の低下に効果的であることを明らかにするとともに、この方法で水管理を行った場合の水温変化を、取水直後の水深、用水温度、減水深に応じた水田微気象モデルにより再現できることを確認した。 このほか、a) 登熟中期の高温乾燥風(フェーン)によるリング状の乳白粒形成には、水ストレス下の胚乳細胞で起こる浸透調節が関わっ ており、玄米成長が維持されるものの澱粉集積が一時的に阻害されることで乳白粒が形成されることを明らかにした。さらに、出穂期以降1か月の最大の蒸散強制力FTP(大気飽差×√風速)に応じて1等米比率が低下することを明らかにした。また、領域気象モデルWRFを用い平成19年7月の九州南部における力学的フェーン現象を正確に再現した。 |
カテゴリ | 乾燥 気候変動対策 高温対策 栽培技術 水田 水稲 多収栽培技術 品種 水管理 |